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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

民営化40年 NTT法廃止の狙い② 株主配当が20年で10倍

2024-04-15 07:52:59 | 経済・産業・中小企業対策など
民営化40年 NTT法廃止の狙い② 株主配当が20年で10倍
JMlTU通信産業本部特別執行委員 重見幸春さんに聞く

―NTT法廃止は、自民党の「防衛関係費の財源検討に関する特命委員会」が昨年6月、政府が保有するNTT株を売却し軍拡財源に充てる考えを示したことから急加速しました。
NTT法は、政府に同社株の3分の1の保有義務を課しているので、同法を廃止すれば株が売却できるようになります。

都合のいい財布
軍拡財源案は国民批判の高まりのなかで下火になったように見えますが、NTT法が廃止されれば出てくる可能性は十分あります。1985年の電信電話公社の民営化以来、自民党政権はNTT株を自分たちに都合のいい財布として使ってきた歴史があるからです。
政府保有株の売却は86年に始まりますが、大量放出による株価下落で88年にいったん売却できなくなります。そこで90年代後半から採られた手法がNTTによる自社株買いです。自社株買いと株式消却を繰り返すことで、株価を維持しながら政府のNTT株保有率を引き上げ、政府保有株を売却できる環境をつくってきたのです。
2023年度までの自社株買いの総額は5兆4551億円に上り、政府がNTT株の売却で得た利益の総額は16兆1300億円余に達します。




―自社株買いと株式消却の手法は、株の流通量を減らして需給逼迫(ひっぱく)を演出するとともに、投資家が重視する1株当たりの当期純利益を高める効果があり、株主配当とともに株主への利益還元策として近年盛んに実施されています。一方、労働者の搾取を強め、格差拡大の要因になっているとして国際的な批判が高まっています。
NTTも配当金を急激に増やしています。NTTは投資家向けの資料で、03~23年度の間に1株当たりの配当金を10倍に伸ばしたことを実績として紹介しています。会社の当期純利益のうちどれだけを配当金の支払いに向けたかを示す配当性向も、03年度には12・3%だったのが、18~20年度には4割を突破しました。

原資は汗の結晶
自社株買いにしても配当増にしても、原資は利用者が負担した料金であり、NTTグループの労働者の汗の結晶です。
NTTは株主還元を強める一方で、労働者の人件費を削り続けてきました。90年代から他社に先駆けて成栗主義賃金を導入して賃金を切り下げるとともに、02年には51歳以上の社員全員をいったん退職させたうえで、賃金を15~30%も削って地域子会社に再雇用する「11万人リズトラ」を強行。非正規社員も拡大し、ピーク時(16年3月期)にはグループ全体で10万人に迫り、非正規率は、地域通信事業(NTT東日本、西日本など)で約5割、連結企業全体で約3割に達しました。
電気通信による国民の利便性確保と公共の福祉増進が目的と法律で定められた電電公社から、利益追求を目的とした株式会社へと変わって以降、NTTでは株主優先経営と労働者搾取が極限まで強められてきたと感じます。その結果起きているのが、利用者のサービス切り捨てと深刻なモラル崩壊です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月11日付掲載


2023年度までの自社株買いの総額は5兆4551億円に上り、政府がNTT株の売却で得た利益の総額は16兆1300億円余に。
NTTも配当金を急激に増やしています。NTTは投資家向けの資料で、03~23年度の間に1株当たりの配当金を10倍に伸ばしたことを実績として紹介。
自社株買いにしても配当増にしても、原資は利用者が負担した料金であり、NTTグループの労働者の汗の結晶です。
NTTは株主還元を強める一方で、労働者の人件費を削り続けてきました。90年代から他社に先駆けて成果主義賃金を導入して賃金を切り下げるとともに、02年には51歳以上の社員全員をいったん退職させたうえで、賃金を15~30%も削って地域子会社に再雇用する「11万人リストラ」を強行。非正規社員も拡大し、ピーク時(16年3月期)にはグループ全体で10万人に迫り、非正規率は、地域通信事業(NTT東日本、西日本など)で約5割、連結企業全体で約3割に。

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