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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍「経済偽装」⑤ 多国籍企業奉仕を自賛

2019-02-25 11:48:40 | 経済・産業・中小企業対策など
安倍「経済偽装」⑤ 多国籍企業奉仕を自賛
安倍晋三政権は、広域経済連携を「成長戦略の切り札」と位置付け、11カ国の環太平洋連携協定(TPP11)や、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(日欧EPA)を政権6年間の「成果」に数え上げています。


日欧EPAに反対する人々=2018年12月7日、参院議員会館前

貧困と格差広げ
しかし、これらは、国境を越えてもうけを追求する多国籍大企業に奉仕するものです。関税を撤廃・削減するほか、国民を守る規制でも、多国籍大企業にとって障害になると見なすものは廃止・緩和し、国内農業、地域経済、消費者に被害を与えます。産業空洞化を助長し、貧困と格差をより広げます。
政府は、TPP11で国内総生産(GDP)が約8兆円、就業者が約46万人増え、日欧EPAでGDPが約5兆円、就業者が約29万人増えると誇示します。しかし、政府試算は、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく施策によって、プラス効果が表れ、マイナス影響が克服されるという期待を織り込んだ恣意(しい)的な試算なのです。
農産物では、関税率10%以上かつ国内生産額10億円以上の品目だけが試算の対象です。TPP11では19品目、日欧EPAでは18品目にすぎません。その上で、輸入品に押され、国産品が値下がりし、生産額が減っても、国内対策によって生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると結論付けます。
雇用では、完全雇用が前提です。雇用がある分野で失われても、労働者は必ず他の分野へ移れるので、失業は決して起きないという想定です。ですから、当然ながら失業は起きず、GDPが拡大した分だけ雇用が増えるというのです。
TPP11は、米国が離脱しても、基本的には元のTPPのままです。農林水産物では、82・3%の関税品目で関税が撤廃されます。国会決議が守るよう求めた農産物重要5品目でも、28・6%の関税品目で関税が撤廃されます。
日欧EPAでは、農産物に強みを持つ欧州諸国を相手に、チーズ、ワイン、菓子、小麦粉製品で、TPP以上に譲歩しました。政府調達(官公需の受発注)でも、外国企業が参入できる行政組織の規模を、TPPの範囲を超えて、人口20万人以上の「中核市」にまで広げました。




民主的ルールを
安倍政権は今後、TPPから離脱した米国と2国間の貿易協定の交渉を開始することになります。米通商代表部(USTR)が公表した米日貿易協定(USJTA)の「交渉目的の概要」は、物品貿易のほか、通信・金融を含むサービス貿易、投資、知的財産、通貨(為替条項)など、多くの分野を列挙しています。
TPP11と日欧EPAが発効した今、米国の業界は、他国に比べて日本市場で不利にならないようにと、強硬な対日要求を米政府に提出しています。特に、TPP11と日欧EPAを超える譲歩を日本から引き出すようけしかけています。
安倍政権は、TPP11や日欧EPAを「自由で公正な21世紀型のルールをつくっていく上で重要な一歩」と自賛します。しかし、それは、「自由貿易」の名で「企業利益を最優先する管理貿易体制」(スティグリッツ米コロンビア大学教授)にほかなりません。各国の経済主権や食料主権を尊重した民主的な国際ルールこそ必要なのです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年2月23日付掲載


輸出に強い農業分野の開拓などと言うが、欧州との農産物の輸出入額をみると、圧倒的に輸入。関税撤廃で日本の農業に打撃が及ぶことは明らか。
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