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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

AIと産業③ 専用半導体の開発激化

2024-04-20 07:10:34 | 経済・産業・中小企業対策など
AIと産業③ 専用半導体の開発激化

桜美林大学教授 藤田実さん

チャットGPTは、ダウンロードすれば自分のスマホでも無料で利用できます。スマホの中で質問に回答したり、文章を生成するのではなく、マイクロソフトが提供するクラウドサービスのサーバーの中で動き、インターネットを通じて結果を出力するという仕組みです。
チャットGPTなど生成AI(人工知能)の基盤となる大規模言語モデルは、大量に学習し、高速で推論していくため、高性能のサーバーが大量に必要になります。その高性能サーバーに使われているのが、GPUという画像認識用の半導体です。膨大な計算処理能力を持ち、AI用の半導体として活用されるようになりました。


【クラウドサービス】
インターネットを介したデータの貸倉庫を提供するサービス。クラウドは英語で「雲」を意味し、利用者が触れられない場所に置かれたデータを、空に浮かぶ雲の姿に重ねています。サービスを提供する企業は大容量の記憶装置(サーバー)でデータを管理します。文書作成など従来はソフトを購入しなければ使えなかったさまざまなシステムも提供し、顧客を囲い込んでいます。



「nVlDIA」というロゴが入った看板を掲げるエヌビディア本社U=米カリフォルニア州サンタクララ(ロイター)

供給を直接要請
GPU市場を圧倒的に独占しているのが米半導体大手エヌビディアです。同社のGPUはデータセンターのサーバーに使用され、需要が急拡大しました。調査会社ガートナーによれば、2023年の同社の半導体売上高は、前年比56・4%増の23兆9830億円。半導体大企業の中で台湾積体電路製造(TSMC)、米インテルに次ぐ第3位になり、大躍進しました。
高速の演算処理が可能なAI半導体はAIシステムの性能を規定する要になっています。GAFAM(ガーファムU=グーグル、アマゾン、フェイスブック〈現・メタ〉、アップル、マイクロソフト)の中でも、マイクロソフトやアルファベット(グーグルの親会社)、アマゾンが開発に乗り出しています。
急激に需要が高まり世界中で争奪戦になっているGPU入手のために、日本政府は23年12月に岸田文雄首相がエヌビディアのCEO(最高経営責任者)と面会し、できる限り多くのGPUの供給を直接要請しました。エヌビディア側も「できる限り提供できるようにしていきたい」とこたえたといいます。

巻き返し不確か
経済産業省は、同5月の「半導体・デジタル産業戦略」で、AI向けに消費電力を抑えた半導体の開発を支援すると発表。同戦略に基づき12月にはAI半導体を研究開発する国内スタートアップ企業への200億円の支援を発表しました。
今年2月には、先端半導体の製造を目指して設立されたラピダスの開発を支援するLSTC(技術研究組合最先端半導体技術センター)に対して、スマホや電子機器などの端末に搭載される「エッジAI」向け半導体の設計技術の開発に280億円を支援すると発表しました。
生成AIが実用の域に達し、GAFAMのサービスに組み込まれるなど、さまざまなサービスの展開が進むと、AIを支える物的な基盤であるコンピューター、中でも半導体の高性能化・低消費電力化が求められています。車の自動運転でも高速処理が必要なAI半導体が求められます。
エヌビディアやGAFAMなどの独占企業だけでなく、スタートアップ企業も交えて世界中でAI半導体の開発競争が激しくなっています。ただ、AIの開発に後れをとっている日本企業が巻き返せるかは、不確かです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月18日付掲載


チャットGPTなど生成AI(人工知能)の基盤となる大規模言語モデルは、大量に学習し、高速で推論していくため、高性能のサーバーが大量に必要になります。その高性能サーバーに使われているのが、GPUという画像認識用の半導体。
GPU市場を圧倒的に独占しているのが米半導体大手エヌビディア。
生成AIが実用の域に達し、GAFAMのサービスに組み込まれるなど、さまざまなサービスの展開が進むと、AIを支える物的な基盤であるコンピューター、中でも半導体の高性能化・低消費電力化が求められています。車の自動運転でも高速処理が必要なAI半導体が求められます。
ここで取り上げられているのは「GPU」。インテルなどの「CPU」とは別の次元の機能を果たす半導体。

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