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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

AIと産業⑤ 最大利潤追求 失業生む

2024-04-24 07:01:15 | 経済・産業・中小企業対策など
AIと産業⑤ 最大利潤追求 失業生む

桜美林大学教授 藤田実さん

企業での生成AI(人工知能)の利活用が広まる中で、問題になっているのが労働への影響です。
これまでの調査報告に共通しているのは、労働者への影響は避けられないということです。生成AIは、データ検索、数値処理・分析、文章や画像、動画、音声の生成など知的労働の分野で活用されるため、労働の代替、高度化、単純化、二極化といった可能性が指摘されています。

職務編成の構成
重要なのは、その職務がどのような仕事(タスク)と分業から成り立っているのかということです。
一般的に企業は、生産性を高めるために分業編成をとり、労働者一人ひとりに異なった職務を担当させます。その職務は通常、単純なタスクと複雑なタスクが組み合わさっています。



【AIが仕事に与える影響についての意識】
世界18力国での経営層、従業員ら1万2898人が回答。BCG「仕事におけるAI調査」2023から作成

生成AIを利活用することで生じる労働の変化は、基本的には分業に基づく職務編成をどのように再構成するかにかかっています。数値などデータ処理と分析、データ検索、報告書や企画書、プレゼンテーション資料の作成、ICT(情報通信技術)のコーディング(プログラムのソースコードの作成)作業などは、生成AIが得意とする領域です。企業は生産性や効率を向上させるために、そうした仕事をAIに担当させるでしょう。
職務が分業編成で担当者が固定され、その職務のみを担当していれば、導入されたAIはその労働を代替することになり、担当者は失業することになります。日本では、もっぱら非正規労働者が定型的な仕事を担っており、AIを導入した場合に失業の危険性が大きくなります。
次に、データの検索や分析、判断、意思決定、文書作成などが分業されずに、労働者の職務の一部として組み込まれている場合はどうか。この場合は、AIの導入によって労働者は異常値の判断や意思決定に多くの時間を割けるようになり、労働が高度化すると言えるでしょう。
法務や医療分野では過去の判例や症例の確認が重要です。その作業をAIに任せ、人間は判断や意思決定の職務に専念できるわけです。
AIに関する新しい職務も生まれつつあります。AIモデルやアルゴリズム(情報処理の手順)の開発・実装、出力されたデータの分析・検証などは高度な知識が必要とされる労働です。同時に、機械学習のためにデータの収集や整形、ラベリング(札付け)などの事前処理も必要になります。膨大なデータを扱うため、労働集約的な作業となります。高度な知的労働と労働集約的な労働との二極化が生じると言えます。

労使協定が必要
このように最大限の利潤獲得を目指す資本主義経済で分業を固定化すれば、AIの導入は失業を増大させ、労働を二極化させる可能性があります。AIの導入から雇用を守るには、職務の幅を広げたり、複雑なタスクを交えた職務に再構成する分業編成の見直しと、そのためのリスキリング(学び直し)が必要です。
日本では1980年代に、生産過程へのロボット導入に際して労働組合が雇用と労働条件を守る方向で労使協定を結びました。AI導入に当たっても労使協定を結ぶことが必要になっています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月20日付掲載


生成AIは、データ検索、数値処理・分析、文章や画像、動画、音声の生成など知的労働の分野で活用されるため、労働の代替、高度化、単純化、二極化といった可能性が指摘。
数値などデータ処理と分析、データ検索、報告書や企画書、プレゼンテーション資料の作成、ICT(情報通信技術)のコーディング(プログラムのソースコードの作成)作業などは、生成AIが得意とする領域。AIによりその労働が代替えされ失業する労働者も生まれます。
データの検索や分析、判断、意思決定、文書作成などが分業されずに、労働者の職務の一部として組み込まれている場合は、労働者は異常値の判断や意思決定に多くの時間を割けるようになり、労働が高度化する。
AIモデルやアルゴリズム(情報処理の手順)の開発・実装、出力されたデータの分析・検証などは高度な知識が必要とされる労働です。同時に、機械学習のためにデータの収集や整形、ラベリング(札付け)などの事前処理も必要になります。
日本では1980年代に、生産過程へのロボット導入に際して労働組合が雇用と労働条件を守る方向で労使協定を結びました。AI導入に当たっても労使協定を結ぶことが必要に。

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