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日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

出張中のぼやき

2008-10-26 23:37:54 | パリ右岸
ようやくフランス出張から帰国。思えば12日に日本を出て
24日に戻ってくるなんてほぼ2週間近く西荻を離れていたことになる。
行きも帰りもエコノミークラスの窓際の席に押しやられ、
テトリスしようにもテレビモニターが故障して画面真っ暗、
という最悪のコンディションだったがなんとか日本に戻ってきた。
時差ぼけがつらい。

日本に戻る前に、セルビア人の友人にレピュブリック広場で会った。
郵便局にそのあと用があったので、広場から右岸をプラプラ歩いたのだが、
途中、サンドニ街近くでホームレスのおばあさんがうつろな顔で
路上に座り込み、宙を見ている光景に出くわす。

セルビア人の友人によると、彼女はセルビア人らしい。
90年代初めにパリに来て、普通に暮らしていたがそのうち
パスポートも財産もすべて強盗にあって失ってホームレスに。
出生証明などアソシエーションの力を借りてなんとか
セルビアから取り寄せたのだが、フランスの当局が受理せず
今に至るとか、なんとかいろいろ聞かされた。
要はセルビア人の友人の知り合いらしい。
ああ、そういう人生もあるんだなあ、
と思いながらまた先を進む。

自分

ありがとう、へいきです

2008-05-15 07:32:16 | パリ右岸
雨の舗道でいきなりつまずいた。
ダイジョウブデスカ、アリガトヘイキデス
街に笑いが花のように咲いた
起こしてくれたおじさんは傘の向こうに
すぐとけて、うれしいひとこと僕にささやく
そよ風、まだ街にある限り、歌うよ
               ~「うれしいひとこと」種ともこ

と上記のような歌があるのだが、本日、仕事関係の
飲み会があり、それをすませてメトロの駅を出たのが23時30分。
福岡じゃもう終電の時間だよ、と思うのだがここはパリ、
まだバリバリに地下鉄は動いている。
自宅近くまで地下鉄で移動、出口を
出た途端、かなりひどい土砂降りに見舞われる。

ちょっと躊躇するが、自宅もそう遠くないことを思い出し、
雨の中を、かなり濡れながら通りを闊歩する自分。
いきなり、「はい」と見知らぬおじさんから傘を指しだされる。
見ると、ひげを生やした中近東系のおじさんが僕を
傘に入れてくれた。どうもずぶ濡れで歩いているのに見かねたらしい。

舗道を歩きながら少し世間話をする。おじさんがイラン人で
政治難民として3ヶ月前にフランスに来たこと、ほぼ
フランス語が話せないこと、などいろいろ英語で話す。
傘を貸してもらうのは親切だけど、いろいろ人生も聞かされてもなあ、
と思っているうちに僕のアパルトマンの建物前に到着。
とりあえず礼だけ言っておじさんと別れる。
見知らぬ他人に傘を借りるなんて、数十年ぶりかも。
そんな殊勝な人もいるんだなあ、世の中には。

久しぶりに泡盛を

2008-05-04 14:07:07 | パリ右岸
久しぶりに泡盛を飲んだ。沖縄出身の友達が
どっかから見つけてくれて、うちまで持ってきてくれたのだ。
与那国島産の「与那国」という泡盛だ。うまい。
庭の景色を見ながら、あーだ、こーだ話しながら
飲む酒。ちなみに泡盛の前に、昨日もらったグラッパ、
パスティス、あと白ワインも飲んだのだが、やっぱ
一番泡盛がうまかった。って飲みすぎだっつーの。

世界がある場所

2008-04-12 16:07:28 | パリ右岸
昨日はシャンゼリゼ劇場へ現代劇「LE PLAN B」を見に。
LE PLAN Bというのは何かオールタナティブな計画のことを
意味する、と聞いていたのだが劇を見ていて別の意味なのかも、
と思い始めた。
劇自体はイギリスの若手新進作家のもので、
ミニマルな会話と極めて日常的なスケッチが繰り返される中で
セックス、ドラッグ、陰謀、不信などがあぶりだされるような作品。
見ていて、PLAN BというのはPLAN Q(これは性的関係を示す表現。
正しくはplan culと書く)とかけているのだなあ、ということも分かった。

で、そのあとよせばいいのに知り合いがステージに出るというので
シャンゼリゼのクラブ、world placeに行く。いきなり入り口で
黒人のガードマンが客の品定め。中に入ると黄色い声張り裂けんばかり
の若い金髪のきれいなおねえちゃんたちが通路やフロアにたむろ。
ああ、こういう世界もあったなあ、としばしノスタルジー。
入り口でもらったブレスレットをカウンターで見せたら飲み物が
ただになるのでシャンペンとパンチを立ち飲みする。
普段接している人々が堅実だけど地味な人ばっかりなので、
気分が変わっていいかも。



4月の雪

2008-04-07 07:52:43 | パリ右岸
夜半に通りを歩いていたらなんと雪が降ってきた。
雨と雪が混じったような、冷たい雪が。
四月にパリに雪なんて初めての体験かも。さぶ。
やっぱ以上気象かも。

昔の雑誌を引っ張りだして読んでいたら
パリを舞台にしたフランスの漫画の特集をしていた。

ジャンフィリップ・ぺローの
『熱気の到来~予告のない出発』というBDが
なかなかフランスぽくていいのだ。
原題はPREMIERES CHALEURS DEPART SANS PREAVIS

デルフィーヌ、ニーナ、マキシムそしてほかの登場人物は
カフェあるいは映画館に集う。30歳、それぞれが心に
傷を持ち、一方で家庭を持ちたい願望もある。買い物、
ジョギング、すべてが彼らが住むサンマルタン運河近く
で行われる。


感情の保存とラジオ

2008-02-21 07:00:26 | パリ右岸
仕事の関係でラジオ局にバレリーや同僚と
行かないといけない羽目に。
主担当のバレリーがこのうえもなく興奮していて
手のつけられない状況に。何時間も前からソワソワしている。
ラジオ局まで僕が運転する車にみんな乗っていたのだが、
後部座席でバレリーが「右に曲がれ」とか「もっと前に
駐車しろ」とか運転もしないくせにうるさくがなるので
最後にはいらいらして怒ってしまった。
いちいち言われなくても知ってるよって。

上司が車の中でバレリーに最近覚えた表現とかと言いながら

J'AI LA PECHE
(直訳すると桃を持っている、という意味)

という表現を披露していた。要するに元気があって、うまくやってる
という意味なのだが。伝統的な仏和辞典には載っていないが、
口語フランス語ではよく出てくる。「サバ?」みたいな感じで
この表現は使われる。

はっと思ったのだが、こうやってバレリーを煙たがったり、
上司の話を聞いて、「今頃そんなこと言ってるのかよ」などと
馬鹿にするような気持ち、って持続はしないんだろうな。
誰かを好きであったり、誰かにそばにいてもらいたい気持ちが
いつの間にか消えてしまうように。

パーティーはこりごり

2008-02-04 06:26:33 | パリ右岸
いつもはそんなの自分には関係ないね、とつっぱねる
事務所スタッフの私的なパーティーにこの週末
重い腰を上げて行ってみた。たまには社交もやろうかな、と。

結果。後悔の嵐。二つのパーティーを掛け持ちしたのだが
(そういう自分もどうかと思うが)、最初のフランス人スタッフとの
パーティーは途中から参加者が口論をし始め、気まずい
雰囲気で幕切れ。
もう一つの日本人中心のパーティーは、ありがちだけど
日本的価値観を持った日本人が、会社の愚痴とか
人間関係をだべって終わるという、分かっていたけど
今更ながらその凡庸さに落胆して終わり。しかも最後らへん
また痴話喧嘩が始まり、同じように気まずい雰囲気で終了。
(その喧嘩の原因は僕の言動だったのだが)。

やっぱやりたくもないのに、慣れないことしちゃいけないな。
気の合う友達と話してるほうがずっと楽しいよな。

シャトレの月

2007-12-19 08:05:58 | パリ右岸
この三週間、土曜も日曜も働きづめだったのでこりゃ
たまらんと思い、今日は代休をとって会社は休み。
仕事があることは非常にいいことであり、喜ぶべきこと
なんだが、やっぱりそれが度を越すとやっぱ体力的にも
精神的にもきついと思うよ。

クリスマスも近づき、友達にクリスマスプレゼントでも
買おうかと思い、シャトレのフォーラム・デ・アールに行く。
最近話題のjeff de brugesのチョコでも買おうと思ったのだ。
このチョコレート屋、ネットで調べるといまや恐ろしいほどの
数がパリはもとより、フランス全土にあるらしい。知らないうちに
無茶苦茶ポピュラーなブランドになっている。
で、フォーラム・デ・アールの店舗に行って見たら長蛇の列。
レジの前には10人ぐらい並んでいる。
こりゃたまらん、と思い退散。

最近、日本のテレビ局のロケハンの人たちと話す機会があったが、
彼らの話に閉口した。海外で日本人ががんばっている姿を撮りたい、
日本人でもこんなに海外でがんばってられるんだ、という
ドキュメンタリーを撮りたい、とかいろいろ言っていた。
つーか、このグローバリゼーションの時代に日本国民の
プライドを鼓舞するような映像を撮ってなにが面白いんだろうか?
海外でももっと普通に、自然に振舞えないんだろうか?などと
心の中で突っ込んでみた。ロケハンの人たち、自分と同年代だったんで
ますます驚き。日本人のメンタリティーというのは旧態然としているのか?
なんでそんな日本、日本ってこだわらないといけないんだろうか?

ポンピドーセンターの近くで働いている友達のオフィスを訪ね
写真を一枚。寒空に光る今宵の月。
日本に帰ることは簡単だけれど、もっとフランスでがんばってみたい、
と思わせるような月だった。そういえばアニー・レノックスの歌でも
あったな。死ぬのは簡単だ、生きていくことこそずっと難しいんだ、って。


生温かい夜に

2007-12-07 07:35:16 | パリ右岸
水分を多く含んだ、湿った風の吹き抜ける生温かい夜に
セーヌ川を渡った。
川面は泥水のように濁っている。
その中を遊覧船がそっけなく走行していく。
汚い水も淀んだ空気も何も気にせずに。
街の明かりが行き場を無くして漂っているように見える。
不思議な12月の初めの夜だった。

レアール界隈

2007-11-28 07:31:47 | パリ右岸
久しぶりにコンサートでも聞く気になって、
一人でポンピドーセンター界隈に行ってみた。
ジャズの音楽の聞こえるライブハウスにふらっと立ち寄る。
即興の、心地よいライブのジャズ演奏が聞こえる。
リズムやメロディーに身を任せしばし耳を傾ける。

帰り道、たまたま知っている(というかよくも知らないんだけど。
一度会ったことのある)日本人の留学生の女性にばったり出くわす。
彼女はフランス語を練習中らしく、片手に文法書を持って
一生懸命フランス語文法を読みふけっていた。
歳は聞いたことはないけれど、たぶん20台後半?
昔をなんか思い出して懐かしかった。そういや、まじめに
フランス語の文法とか勉強していた時期もあったよなあ。
でも、彼女自分の将来、そういう風に考えているんだろうか?
などと一瞬考える。自分が留学生だったときは、もちろん
将来のことなんか何も考えていなかった。今も大して考えてない。


パリで焼酎

2007-10-30 07:41:02 | パリ右岸
パリで焼酎といえば、シャンゼリゼ近くにある和風居酒屋
「ひょうたん」にさつま白波キープしている自分ですが、
今回、同僚のお母さんが日本からの土産ということで、僕に
鹿児島の焼酎を買ってきてくれた。お母さん、生まれが九州らしく
(同僚は関東なんだけど)、九州出身の僕のためにわざわざ
日本から買ってきてくれたらしい。ありがたいことっす。
二日続けて氷で割って飲んだんで、今日はお湯で割ってみた。
焼酎のお湯割りなんて、そんな飲み方したことなかったよな。
なんか、うちのオヤジみたいだよな、などと思うことしきり。
今日の焼酎は芋焼酎だったが、福岡の実家の近くには胡麻焼酎
で有名な酒蔵がある。あと、大分まで行くと麦焼酎か。

夜にポンピドーセンターで行われたコンサートを見に行く。
終演後、カクテルに誘われたがそそくさと帰ってきてしまった。
なんかいつもの気後れが出てきてしまったのだ。あと、そんな
気乗りしないのに無理やり会話したって、自分らしくないしな。

街角の壁画アート

2007-10-23 05:51:15 | パリ右岸
ある晴れた日の朝、パリ東部を歩いていてふと見つけた
アパルトマンの壁に描かれたアート。
こんな街角にひょっこり現れるアートってなんか
ほっとしていいなあ、と思う。シャチホコばった公園の
ブロンズ像なんかより、砕けていていい感じ。

セルビアから来た人(2)

2007-10-19 06:54:28 | パリ右岸
こっちに来て思うのだが、利害が絡まなければ僕はワリと他人と
友達になるのは簡単なんじゃないかな、と思う。知らないうちに
友達だけ増えていく、という状況がある。あとは自分の心の
中にオブスタクルがあるか、ないか次第である。せっかく
友達になってくれよう、という人に僕が心を開かないもんだから
結局は離れていく、という図式も結構ある。とかなんとか書くと
なんか僕が人気者みたいだが、そういうことはなくてもともと
友達の絶対数が少ないから、出入りが目立つだけのことだ。

さて最近友達になったセルビアの友達は非常によく働く。
某フェスティバルの仕事をする以上に、プロのジャズ
ミュージシャンもやっていてコンサート
ツアーに出かけたりするし、ジャズの授業を音楽学校で教えたり
もしている。平日も23時ぐらいまで働いていて、深夜に仕事の
メールが来たりする。もちろん土曜日も働いている。日本人かよ。

で、今日、仕事の関係で彼が教えてくれたレピュブリックの
ホテルに予約の電話をする。割引料金だし、仕事のクライエント
をそこに泊めようとしたのだ。ホテルの電話に出た人に、
割引料金のことを説明したが、あまり的を得ない。
終いには「○○(そのセルビア人の友達の名前)
が明日入るから、やつに聞いてくれ」と言われる。え?明日入る?
話をよく聞くと、セルビアの友達はそこのホテルで時々
レセプショニストとして働いているらしい。
彼はホテルマンもやっているのか?飽くなき労働意欲。

ベルビル界隈

2007-10-15 01:50:36 | パリ右岸
朝から早起きしてベルビルへ行く。なんのことはない。
散髪にどうしても行きたくて、日曜に開いている理髪店
を探したらベルビルにあることが分かったのだ。
さすが中華街。そもそも日曜の午前中に街に出るのなんて
何ヶ月ぶりだろうか。そんな億劫さも我慢したくなるほど、
髪がボサボサに伸びていたのだ、仕方ない。

ベルビルの地下鉄を降りると、午前11時だというのに
街はすごい人の波ができていた。
買い物袋を下げた人、路上で待ち合わせをしている人々、
街角で世間話に興じる人々、なんかアジアが押し寄せてきた感じ。
カット11ユーロととんでもなく安い理髪店に入る。
いつも行くチェーンの散髪屋は22ユーロだから
べらぼうに安いのだ。

中国人の女性がフランス語で話しかける。
店内にはフランス人のオヤジと、絵に描いたような
華僑顔の中国人のオヤジの二名の客だけ。
僕の番になる。「とりあえず短く切ってください」
と頼むと、もくもくとその中国人女性は髪を切り始めた。
彼女は、なんだかひっつめた髪と、化粧ッ気のない顔で
場末感ただよう。というかベルビルって場末なんだが。
歳の頃は45歳ぐらいか。途中で彼女が口を開く。
「あなた中国人じゃないでしょ?」
「ええ、違います」(まあ、フランス語で話してるんだから当然だが)
「どこの人?タイ人?カンボジア?」
「いや、日本です」
「ああ、そう」
そのあと、彼女はほかの従業員になんか中国語で
こそこそ僕の顔を見ながら話していたが、意味分からず。
どうせ、「この客、日本人なのよ」とかそういうこと
言ってたんだろ!

散髪してもらったら、なんか自分で言うのも変だが
なかなか爽やかなアジア人になったぜ。