く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<サンタンカ(山丹花)> 沖縄の3大名花 デイゴ、オオゴチョウとともに

2015年09月08日 | 花の四季

【中国~マレーシア半島原産、江戸時代に渡来】

 アカネ科サンタンカ属(イクソラ属)の常緑低木。中国南部~マレーシア半島の原産で、日本には江戸時代前半に渡ってきた。江戸中期の植物学者、小野蘭山の講義録『本草綱目啓蒙』(1803~06年)には「コノ木和産ナク、暖国ノ産ナリ。今ハ琉球、薩州ヨリ来り世上ニ多シ」と記されている。

 サンタンカ属は世界の熱帯地方に約400種分布する。その中で「キネンシス」という種が狭義には一般に「サンタンカ」と呼ばれる。赤橙色の丸みのある小さな4弁花で、茎頂に小花が集まって径5~10cmほどの半球状の花房を付ける。名前の「丹」はその花色から。花もちが良く花期は長い。

 沖縄では花が年3回咲き、花柄(かへい)が3段になっていることなどから「サンダンカ(三段花)」と呼ばれることが多い。サンタンカ属の1種でインド原産の「コッキネア」は花弁が細く尖った十字型。葉が小さいことから沖縄などでは「コバノ(小葉の)サンダンカ」と呼ばれる。別名「ベニテマリ(紅手鞠)」。

 サンタンカはデイゴ(梯梧)、オオゴチョウ(大胡蝶)と並んで「沖縄3大名花」の1つ。宜野湾市の「市の花木」、うるま市の「市の花」にも選ばれている。サンタンカの花色は赤系が一般的だが、白や黄、ピンクなど様々な園芸品種も生まれている。よく似た花に「クササンタンカ(草山丹花)」(別名ペンタス)。こちらは熱帯アフリカ~アラビア半島の原産で、花びらが5枚とサンタンカより1枚多く、先が尖っているという違いもある。

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<BOOK> 「カタツムリの謎」

2015年09月05日 | BOOK

【野島智司著、誠文堂新光社発行】

 表紙上部の「日本に800種!」の下に赤字で「コンクリートをかじって栄養補給!?」。えっ、ホント? カタツムリは雨の日、ブロック塀に集まって二酸化炭素を含んだ雨水がわずかに溶かし出すコンクリートを食べるという。カタツムリの殻の主成分は炭酸カルシウム。カタツムリは殻づくりに必要なカルシウムを、石灰石を主原料とするコンクリートから摂取するというわけだ。

      

 カタツムリには天敵が多い。とりわけ繁殖期の野鳥にとってカタツムリは貴重なカルシウム源。野鳥の卵殻は成分の約95%を炭酸カルシウムが占める。「土壌中のカルシウムが少ない地域ではカタツムリも少なく、その結果、野鳥の卵の殻も薄くなる」という傾向があるそうだ。オサムシの仲間で日本固有種のマイマイカブリはカタツムリを主食とする。頭が小さく首(正確には前胸部)が長くて、楽器の琵琶に似る。だから別名「琵琶虫」。カタツムリの殻の入り口から頭を突っ込み、口から出す消化液で溶かして食べてしまう。

 トカゲは敵に襲われたとき、自ら尻尾を切る〝自切(じせつ)〟で相手の気をそらして逃げる。カタツムリの1種イッシキマイマイはヘビに噛まれると同じような行動を取る。尻尾はトカゲ同様、しばらくすると元に戻るという。ノミガイという小さなカタツムリは鳥に食べられてもフンの中に潜んで生き延び生息地を広げているともいわれる。実にしたたか!

 その生態には他にも不思議がいっぱい。ツノ(大触覚)の先にある眼はものの形を見ることができず、光の明暗を感じる程度。雌雄同体で、おとなになるとツノの間に頭瘤(とうりゅう)というコブができる。このコブから性フェロモンを出しているらしい。交尾は2匹が「8」の字を描く形で行う。そのため構造的に右巻きのカタツムリは右巻きのカタツムリと、左巻きは左巻きとしか交尾できない。

 殻の表面には無数の微細な溝があり、雨どいのように水が流れることで汚れが浮き上がって落ちやすい。その殻の応用研究から、汚れにくい外壁用タイルや台所、トイレなどが生まれている。常に体を地面に密着させて動くカタツムリの移動方法を応用したロボットの開発も進んでいるそうだ。これまで知らなかった様々の謎に触れて、デンデンムシがより身近な存在に思えてきた。

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<ムラサキゴテン(紫御殿)> メキシコ原産 ムラサキツユクサ属の多年草

2015年09月04日 | 花の四季

【全身紫色、旧属名から「セトクレアセア」とも】

 ツユクサ科ムラサキツユクサ属(トラデスカンティア属)の常緑性多年草。原産地はメキシコで、日本には戦後の1950年代に入ってきた。ツユクサの仲間には葉の裏が紫色のものもあるが、このムラサキゴテンは花も葉も茎も紫色なのが大きな特色。間違いやすいムラサキツユクサ(紫露草)は花が青紫で、葉や茎は緑色。北米原産で一足早く明治時代に渡来、野生化して道端でもよく見かける。

 国内で広く栽培されている「パープルハート」という園芸品種が一般的にムラサキゴテンと呼ばれる。旧属名から「セトクレアセア」という別名も。今の属名トラデスカンティアは16世紀後半から17世紀にかけて世界各地の珍しい植物などを収集した英国人の著名な園芸家・冒険家ジョン・トラデスカント(1570~1678)の名前に因む。

 花はピンク色がかった3弁花で、雄しべの先端の葯は黄色。花径は2cmほど。1つ1つの花は短命な一日花だが、初夏から晩秋にかけて次々と花を付ける。全身紫色の珍しい植物とあって、花壇の縁取りや寄せ植え、ハンギングバスケットなどとして人気が高い。濃い紫色の葉は長楕円形で厚みがあるため、多肉植物や観葉植物として扱われることも。

 寒さにやや弱いが、関東以西では戸外での越冬も可能。挿し木で簡単に殖える。葉にピンク色の縦縞が入った品種は「フイリ(斑入り)ムラサキゴテン」などと呼ばれる。「紫御殿」。実に優美な名前だが、その由来は不明。紫色といえば昔から高貴な色とされてきた。その連想から「御殿」が添えられたのだろうか。

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<松尾寺> 国内最大の「役行者小角像」を特別公開!

2015年09月02日 | 祭り

【7日まで「修験道まつり」、焼損の千手観音像トルソーなどの寺宝も】

 日本最古の厄除け霊場といわれる松尾寺(奈良県大和郡山市)で1日から「松尾山修験道まつり」(~7日)が始まった。これに合わせて行者堂(写真の左端)に安置する修験道の開祖「役行者子角(おづぬ)像」を特別公開している。室町時代の作で、役行者の木像としては国内で最も大きいといわれる。

 「松尾山縁起」によると、松尾寺は718年(養老2年)に天武天皇の皇子、舎人親王が日本書紀の無事完成と自身の42歳の厄除けを祈願して建立したのが始まり。中世以降、修験道が盛んになると山岳寺院の松尾寺でも背後の松尾山を行場として多くの僧が修験行を行った。同寺には修験道に関する古文書が約1300点も残っているそうだ。まつり期間中の6日には本堂前で修験道の隆盛と国家泰平を祈って山伏による「柴燈大護摩」が焚かれる。

 役行者子角像は像高130.3cmの杉の寄木造りで、頭巾をかぶり肩に蓑を着け、高下駄を履いて岩座に腰掛けたお姿。暗い堂内に足を踏み入れるや、その存在感に圧倒された。ふくよかな柔和な表情だったのも少々意外だった。両脇に前鬼(赤鬼)と後鬼(青鬼)の木像を従える。さらに後鬼の左横には役行者の母親の像も。1日から宝蔵殿で「秋の寺宝公開」も始まった。ここにも円空作と伝わる江戸時代の役行者像が展示されている。

 頭部が欠けた奈良時代の焼損仏像「千手観音像トルソー」も見どころの1つ。今から60年前の1955年、本尊解体修理中に屋根裏から見つかった。1277年の山火事で本堂が火に包まれたときに焼損した旧本尊とみられる。高さ約188cmの細身の立像で全身黒焦げ。「地獄の業火に焼かれ、千数百年の風雪に堪えて、朽木と化したその姿は、身をもって仏の慈悲を示しているような感じがする」。白洲正子は『十一面観音巡礼』にこう書いた。

 宝蔵殿には重要文化財の十一面観音立像(平安時代、桜材の一木造り)、修験道で用いる金銅装山伏箱笈(はこおい、室町時代)、安土桃山~江戸初期に活躍した絵師・海北(かいほう)友松(1533~1615)の六曲一双「放馬図屏風」なども展示されている。「秋の寺宝公開」は11月10日まで。

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<アマランサス> 南米原産のヒユ科1年草、観賞用として渡来

2015年09月01日 | 花の四季

【赤粟・仙人穀とも、高栄養価の〝疑似雑穀〟

 ハゲイトウ(葉鶏頭)と同じヒユ科ヒユ属(アマランサス属)の1年草。原産地は南米で、種子を乾燥させて食用とする。古代インカ帝国では主食のトウモロコシや豆類とともに重要な作物の1つとして栽培された。日本には観賞用として江戸時代に渡来し、江戸末期には「赤粟(あかあわ)」と呼ばれて東北地方で栽培が始まった。

 アマランサスの語源はギリシャ語で「しおれない」「色あせない」などを意味する「アマラントス」。花期は8~10月頃で、太い茎が直立し高さは2mにもなる。その茎の先や葉の付け根に小花が密集したケイトウに似た花を穂状に付ける。花色は赤や紅色のほか白や黄色も。花は切り花やドライフラワーのほか、赤系の染料としても利用される。

 イネ科のヒエやキビ、アワなどの雑穀に対し、ヒユ科のアマランサスは「疑似雑穀」と呼ばれる。種子は小さな微粒子だが、タンパク質や鉄分などミネラルを豊富に含み「スーパーグレイン(脅威の穀物)」と称される。別名「仙人穀」。これは青森県の恐山の修行僧がアマランサスを食べて修行に励んだことに因む。アマランサスには世界保健機構(WHO)が「未来の食物」として期待し、NASA(米航空宇宙局)も宇宙食として注目している。

 日本でも雑穀ブームの中で人気上昇中。アマランサスを小麦粉に練り込んだパンやクッキー、うどん、ラーメン、納豆など様々な食品が相次いで生まれている。アマランサスの国内最大の生産地域は〝雑穀王国〟岩手県の最北端にある軽米町。この町ではアマランサスの花の妖精をデザインした「かるるん」が「ヒエポン」とともに町のイメージキャラクターになっている。

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