地球上には30万種類を超える植物があるという。その中には奇妙なものも多い。このブログでも「ホウガンノキ(砲丸の木)」や「キソウテンガイ(奇想天外)」などを取り上げてきたが、「あっ」と驚く珍妙な植物がまだまだあった。以下でご紹介するのは京都府立植物園の温室内で遭遇した珍名・珍樹3つ。
【キフォステンマ・エレファントプス】ブドウ科の落葉ツル性植物。「ゾウの足」を意味する「エレファントプス」の名の通り、大きく扁平なこの塊根の形はゾウの足と見まがうほど。直径は50cm近くあり、触ってみると石のように硬くざらざら。アフリカ大陸の東南部に浮かぶマダガスカル島(面積は日本の1.6倍)の南部に自生する。この島は大昔、大陸移動に伴ってできたことから、独自に進化を遂げた固有種が多い。この植物もその1つで、海岸の砂地で育つ。この塊根の下にはさらに巨大な塊茎があるそうだ。
【アアソウカイ】これもマダガスカル原産で、キョウチクトウ科の常緑多肉性植物。樹高は8~10mにもなり、鋭い棘が幹全体を覆う。「アアソウカイ」を漢字で書くと「亜阿相界」。アジア(亜細亜)とアフリカ(阿弗利加)の植物相の境界にある植物ということでこの名が付いた。名付け親は小説家で、著名なサボテン研究家としても知られた龍胆寺雄氏(1901~92)。数年前、京都府立植物園にご視察に来られた天皇皇后両陛下に担当者が名前の由来をご説明したとき、天皇が「ああそうかい」と答えられて周りの一同大爆笑になったという。美智子さまも「変わった名前ね」とおっしゃっていたそうだ。
【ソーセージノキ】その名の通り、木からぶら下がった果実がまるでソーセージのように見えることから。アフリカのサハラ砂漠以南に広く分布するノウゼンカズラ科の植物。果実は直径10cmほどで、長さは30~50cmになる。ただ中はどろどろの繊維質で食用にはならないとか。花は夜に開き、コウモリが受粉を媒介する。この植物園ではコウモリに代わって職員が人工授粉している。モザンビークでは「男の木」とも呼ばれているそうだ。