経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

キツネが見る家計調査

2013年12月31日 | 経済
 ネイト・シルバーの「シグナル&ノイズ」の中に、予測者にはハリネズミ型とキツネ型があるという話が出てくる。前者は、理論や原則など「一つの大きな考え」に頼り、後者は、特に原則を持たず「小さな考え」を集めて判断するタイプである。予測については、人目を引く前者より、自信なさげな後者の方が優れているらしい。

 まあ、筆者も、需要が経済を左右するという大原則を信じているから、ハリネズミ型かなと自省しつつ、その観点から見える、世間が見逃しがちな事実を提示するよう心がけているつもりだ。予測については外すことも多いが、なぜ外したかは分かる。少なくとも、理論に反する現実の方が間違っているとは考えんよ。

 さて、年末に発表された経済指標は、どれも景気回復の好調さを示す中で、ひとり家計調査は、二人以上世帯の季節調整済の実質指数が前月比-0.3%、勤労者世帯の実収入が実質で前年同月比-1.1%と浮かぬ結果であった。消費は一番最後と無視してしまえば、それまでだが、小さなことが気にかかってしまう。

 消費全体の不調さを、自動車など耐久財の駆け込み需要の強さと、物価上昇による名目の売上の確保が見え難くしているのではないか。引っかかるのは、10、11月と、基礎的な消費を示す「除く住居等」との乖離が約2ポイントと大きいことだ。お金を使う対象が、基礎的なものから駆け込み需要へシフトしている。

 もし、増税後に駆け込み需要が抜け、基礎的な消費レべルへと節約されてしまうと、相当な落ち込みになる。消費性向も高めなだけに心配だ。2014年度の経済見通しでは、0.2%成長という悲観派であるニッセイ基礎研の斎藤太郎さんは、消費の予測値を-1.1%としているが、そのくらいは行ってしまう。

 いやいや、世間はアベノミクスで沸いているのに、心配性なことばかり言っても始まらないね。「増税したら景気は悪くなる」という大原則に頼ってばかりのオールド・ケインジアンと言われそうだよ。ホント、来年は心配を吹き飛ばすような景気であってほしいな。それでは、皆さん、良いお年を。

(今日の日経)
 株高円安・歴史的値動き。消費税10%は不可避・大竹文雄。中国の地方債務310兆円、2年半で7割増。ソニーが家電で追加削減。経済教室・製造業の開発プロセス・柴田友厚。


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1 コメント

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Unknown (asd)
2013-12-31 10:39:32
同感ですね。
ケインジアンとしては来年は不安が強いですが、世間やマスコミが言ってる(?)ように、良くなってくれるんならそれに越したことはありません。
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