経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

「私、失敗は繰り返さないので」

2014年11月24日 | 経済
 長いこと仕事をしていると、同じ失敗を繰り返さない人というのは、極めて優秀な部類に入ることが分かる。残念ながら、凡人は何度もしくじってからでないと覚えないものだし、反対に、目立った失敗のない人は、挑戦を厭う人だったりする。経済運営も、人の業である以上、同じことではあるまいか。

………
 アベノミクスは、2012年に続き、2013年を1.5%成長にしたのだから、ここまでは、まあ、成功と言って良いだろう。他方、2014年度はマイナス成長に突っ込むのだから、こちらは明らかに失敗だ。安倍首相は「アベノミクス解散」として、その評価を問うのだから、アベノミクスには一気の消費増税が含まれるのかを、明確に説明してもらいたいと思う。

 仮に、「三本の矢」は消費増税を成功させるための手段だとするのなら、アベノミクスは失敗としか言いようがない。他方、消費増税は、政策の継続性のために、困難を承知で挑んだものとするならば、まだ評価もできよう。もっとも、2年後には無条件で上げるとするのでは、反省がないとしか見られないだろうが。

 今日の日経が伝える「アベノミクス評価せず51%」というのは、一気の消費増税で、生活水準が低下したことへの素直な反応ではないか。成長の範囲内で増税するという経済運営の鉄則を踏み外した結果である。そうかといって、増税前までは、成長を持続させた実績の余韻もあるだけに、自民は一定の支持を得ているということだろう。

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 アベノミクスには、いくつかの批判がある。一つは格差拡大だが、景気回復の初期には仕方のないところがある。本来は、景気が拡大し、労働需給が引き締まり、賃金が上昇していって、格差は是正されていく。問題は、そうなる前に、一気の消費増税で好循環の芽を摘んでしまったことである。

 金融緩和のやり過ぎという批判も、円高の是正を導いた昨年の異次元緩和までは、なかなか功績を否定しがたいのではないか。せいぜい功罪半ばするというところだろう。しかし、10月末の異次元緩和第二弾はまったく余計で、一気の消費増税をしていなければ無用のものであった。これで「出口」を一層難しくする必要はなかったのである。

 成長戦略への批判も、何かを大きく進展させていたら、一気の消費増税をカバーできたという人は居るまい。むしろ、大規模な投資減税や法人減税の前倒しがほとんど効果を上げていない結果を真摯に受けとめ、経験を活かすべきである。また、今更ながら、経済対策として、低所得層への手当てをしておけば良かったとなったことも忘れるべきではない。

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 結局、一気の消費増税という度外れたことをしていなければ、批判も少なくて済んだのである。一体、何が失敗だったのか、特に、日経を始めとする新聞は、よくよく明らかにしてもらいたいと思う。そうして、社会の木鐸の役割を果たし、同じ過ちを繰り返させないことで、政治も政策も進歩して行くのではないだろうか。

(今日の日経)
 企業秘密漏洩は未遂も刑罰。投票先は自民35%、民主9%、アベノミクス評価せず51%。百貨店と市役所が同居。エコノ・経済予測に平均の呪縛。

※テレビ好きの若手からの要望を受け「11/24の日経」から改題(12/7)

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