経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

良くやった日本経済

2010年11月16日 | 経済
 昨日、GDP速報値が発表になった。実質3.9%という予想を上回る高成長である。むろん、報道されるように、駆け込み消費による上ぶれとされて、来期はマイナス成長というのが大方の予想である。これには、敢えて異議を唱えたい。

 一つは、10/31のコラムで既に指摘していたように、消費が粘りを見せるのではないかということである。遅行指標ではあるが、緩やかに雇用が回復して、現金給与総額も増しており、それが消費を支えるベースになると考えるからである。同様の指摘は、鈴木淑夫先生がHPの最新コメントで、「家計消費急増には雇用者報酬増加の裏付けもある」としている。このコメントは、当コラムの読者に熟読して欲しい内容である。

 また、今日の日経のエコノミスト見通しの「少数意見」である日本総研の藤井英彦さんが指摘するように、10-12月期には薄型デレビの駆け込み需要がある。エアコンの需要も今年は異例に長かった。そして、多くの人が見逃しているものとして、10月には子供手当の初のフル支給があった。総額8000億円は少なくない。来期にも特殊要因は残るのである。

 二つには、ここに来て円高が止まったことである。これも10日前にコラム(11/6)で記したとおりだが、FRBの量的緩和が限界に達したからである。今日の日経にあるように、FRBの狙いどおりにインフレ期待が高まり、米長期金利に上昇圧力がかかっている。10年債は上昇し、4月の4%よりは低いものの、2.8%の低位安定に至った。これで円も一時83円台である。急速な輸出の悪化は避けられよう。

 三つめとしては、住宅投資が上向きになったことである。今日も、「首都圏マンション通年見通し上ぶれも」という記事が出ている。普通なら、住宅投資は金利に感応するが、日本の場合は既に低金利であり、所得状況に左右される。そのベースが上がってきていることは、既に述べたところだ。

 こうしたことを踏まえれば、鈴木淑夫先生が「2010年の日本経済は米・EUを上回る3%台成長になる」とするのは、当然のように思える。この9か月で日本経済は3.5%成長を達成した。財政当局による緊縮財政でGDPで2%ものデフレ圧力を受けながらの、この成果である。前半での輸出好調の運もあったが、日本経済は底力を見せた。良くやったと言えるのではないか。そして、訴えたい、「財政当局よ、もう足を引っ張るのはやめてくれ」と。

(今日の日経)
 国内排出量取引制度、環境省が負担軽減策。補正、予算委で可決、きょうにも衆院通過。エマソンにSRモーター特許、非ジスプロ磁石、トヨタは中国回避。2島返還案撤回の報道。マイナス1.7%成長予測、来年は再浮上も。三菱UFJは来期に繰越欠損金を解消。新高齢者医療保険、都道府県が財政運営。新START年内批准明言。アイルランドいずれ支援必要。ファミマ、アジアで発券。一目均衡・GM販売台数の39%が新興国・梶原誠。リスク回避で円売り。LEDは単身・賃貸層の普及のカギ。ワタナベウェディング、那覇に物流集約。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 日本よ、雪白の翼を再び »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事