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経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

税収は激増、出生は激減、必要な倍増計画

2023年01月06日 | 経済
 11月の国の税収は、累計の前年同月比が+12.1%と極めて好調である。中間の納税月だった法人税は+31.0%にもなり、所得税は+11.6%、消費税は+6.1%と軒並み高い。11月までの実績に、GDPと企業業績の見通しを組み合わせて予測すると、2022年度の税収は72.8兆円になり、前年度決算から+5.7兆円もの伸びになる。2021年度の前年度比+6.2兆円に続き、アベノミクス期の平均増収幅2兆円の3倍近い異次元の税収増である。岸田政権の税収増の「倍増計画」は大成功を収めている。

 岸田首相は、伊勢神宮参拝後の年頭会見で、出生の激減を受け、異次元の少子化対策に挑戦するとしたが、子ども予算の倍増をすれば、黒田日銀総裁が異次元緩和で2倍をキャッチフレーズにしたので、「異次元」になるという意味なのだろう。むろん、「子ども保険」などの負担増とセットになるので、そちらも倍増となる。激増の税収は、すべて財政再建に充てられ、緊縮幅も異次元なものになるだろう。

 他方、小池都知事は、18歳以下に月5000円を打ち出して、注目を集めた。子ども予算の倍増では、児童手当の増額が焦点の一つになっており、それを先取りする形である。都の税収の上ブレも背景にあろうが、児童手当の増額が成れば、そこに吸収されることも考えられ、したたかな戦略であり、大衆を魅了する政治感覚は端倪すべからざるものがある。ただし、薄撒きにしてしまうと、少子化を巻き返す力は、弱くなってしまう。

 日本の少子化対策の欠点は、幼児教育無償化のときに外したように、乳幼児期の負担の重さを分かっていないことである。3歳から18歳までの教育は、既に全員が無償で受けられる。0~2歳については、正社員の女性なら、月13.5万円の育児休業給付を1年間受けた後、月21~19万円のコストがかかる1,2歳児の保育で「教育」を享受できるのに、非正規の女性には、いずれの支援もゼロである。約半数の女性の子供が支援を受けていないのであり、乳幼児支援の倍増計画こそが最重要の課題なのである。

(図)



(今日までの日経)
 国債落札利回り0.5%、日銀上限に。12月消費者心理、4カ月ぶり改善 年末年始の行動制限なく。11月税収21%増 法人税が大幅増。少子化の原因は20年前の白書に既に分析がある・中空麻奈。首相会見・異次元の少子化対策挑む。東京都、18歳以下に月5000円給付へ。円上昇、一時129円台 7カ月ぶり。食品・日用品、「今年値上げ」6割。


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