経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

後悔先に立たずの経済運営

2012年11月04日 | 経済
 家計消費の失速によって、7-9月期QEはマイナス成長が避けられない情勢だ。もし、このことが年初に分かっていたならば、我々は、どんな選択をしていただろうか。今年に入って、子ども手当を4000億円以上削減し、年少扶養控除の廃止で5000億円の負担増に踏み切った。そして今、景気対策のバラマキが望まれている。場当たり的。それが日本の経済運営である。

 反省の弁を述べるなら、年初で先のデフレ促進策を危ぶんでおきながら、2、3月の強めの家計調査の結果で安心していた自分がいた。今にして思えば、生産回復の所得増に隠されていた。その後、6、7月に落ち込んだとき、消費性向の低下もあり、天候要因やボーナス支給のズレの特殊要因と見たが、変調を見逃すべきではなかった。控除廃止の広い影響力を甘く見ていたのである。

 先の通常国会で通っていたかもしれない補正予算が流れたことも見逃せない。前年度の税収上ぶれを還元する形で、1.2兆円程度の需要追加ができていたかもしれないからだ。今年度は、更に1兆円の税収増は堅く、これが成長のエンジンブレーキになっている。社会保険料も自然増収の影響もあるだけに惜しまれる。

 一方、19兆円とうたわれた復興予算の牽引力はどうか。QEの公的資本形成で見ると、1-3月期は前年同期比で1800億円増、4-6月期は700億円増であり、GDP寄与度はそれぞれ0.2と0.1である。筆者は、需要に結びつかない中身の多さや、狭い被災地での執行難を指摘してきたが、まあ、予想に違わぬ結果である。

 近頃、財政乗数は予想より高かったという、IMFの見解が話題となっている。超低金利の金融政策が効かない状況での緊縮財政は、経済成長への悪影響が大きいとするものだが、これを自分のこととして捉えている日本人はどれほど居ようか。何を聞かされても、日本に限っては財政再建が至上命題と言い張るだけだろう。

 10/30に政府と日銀は共同文書を発表し、デフレ脱却に向け「最大限の努力を払う」とした。確かに、日銀は2か月連続の金融緩和措置に踏み切ったが、政府は「適切なマクロ経済運営」と言うのみである。今年、デフレ脱却より社会保障叩きを優先し、挙句にバラマキに追い込まれた反省なくして、「適切さ」など望めるものではない。今のところ、景気は踊り場だ。遅行指数の雇用にも影響が出始めているが、何とか持ちこたえて欲しいものである。

(今日の日経)
 東京新築オフィス3年ぶり高水準。新卒求人サイトの功罪。譲らず挑発せず・秋田浩之。円高修正・米経済指標が改善。イスラエル主席科学官の投資。現代自が燃費過大表示。素材は中国投資を継続・三井化学。三菱重・部品オペ、技術支援、開発、サービス。復興予算の想定内の流用。

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