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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

中国投資の今後

2010年09月29日 | 経済
 今日の日経一面トップのレアアース報道は、高く評価できる。ニュース性には乏しいが、国民が強く関心を持つ事項を的確に伝えている。現状の全体像を明らかにし、危機にあって浮き足立つのを防いでおり、社会的な価値が高い。太田泰彦さんがきちんと指導してくれたのだろう。編集委員の存在感を示してくれた。

 さて、世論は、尖閣衝突事件の処理について、外交的失敗という評価が強まっているが、では、どうすれば良かったかとなると、そう簡単な話ではない。中国船長の行状からすれば、逮捕はやむを得ないだろう。あとは略式起訴による早期処理へ向け最善を尽くすべきだった。その際、手痛いミスになったのは、中国外交官との早期の面接を許し、容疑の否認へと転じさせたことだ。これで早期処理が困難になったからである。

 この時点で採り得る選択肢は、中国との全面対決で大きな経済損失を招いても正式起訴の手続を進めるか、人道的配慮という理由をつけて処分保留のまま釈放するかとなる。筆者は、損失覚悟で手続を貫くべきだったと考えるが、損失回避が馬鹿げているとまでは言えない。問題は、外交的配慮を理由にしてしまったことだろう。

 理由を人道的配慮にするのは、ある意味、嘘にはなるが、例えば、「違法行為の原因は、本人の著しい無知と中国の教育の不備にあり、処罰が適当でない」とか、「帰国後、本人が事態の責任を問われて、厳しい制裁を受ける可能性がある」とか、多少、嫌味な理由にしておけば、良かったのである。このあたりは、政治的なセンスが必要とされよう。

 いずれにせよ、事は済んでしまったのであり、これからどうするかを考えなければならない。日経には記事がないが、中国は検査の抽出率を上げて、輸出を停滞させる措置も取っている。日本が尖閣を諦めることは在り得ないのだから、日中対決は、今後も避けがたい。もはや、中国は投資できるような国でなくなったことは確かである。企業は、巨大市場の幻想に惑わされずに、粛々と撤退を進めるしかなかろう。

 中国はノーベル平和賞でノルウェーに圧力をかけてみたりと、国際社会のメンバーとしてふさわしくない行動を取っている。これでは、社会的責任投資の観点からも、中国に投資ができなくなってしまう。中国経済の変調の兆しも増えてきた。早晩、すべての外資は退かざるを得ないとすれば、早いほうが損失は少なかろう。中国は、本当に良い教訓を日本に与えてくれた。

(今日の日経)
 レアアース生産拡大、中国依存脱却へ動く。エルピーダ最先端DRAM量産。底堅い「軽」取り込み、トヨタ、ダイハツから調達。民間給与最大の23万円減、昨年406万円、89年水準に。軍事交流、米中再開で合意。中国、平和賞でノルウェーに圧力。欧州自動車大手、米での生産加速。東南アジア株軒並み上昇。トラック隊列自動走行。フェリー生産能力2割増。商業団地でカーシェア。経済教室・金融政策の再構築が重要に・安達誠司。

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