税収は好調、歳出は抑制ということで、財政収支の改善が期待される中、10-12月期の日銀・資金循環では、未だ表れるに至らなかった。部門ごとの資金過不足を4四半期移動平均で見ると、国は500億円の若干の改善、地方が5千億円もの悪化となり、社会保障は横バイにとどまり、全体として悪化するという結果だった。もっとも、「悪化」という表現ではあるが、これと裏腹に民間部門が「改善」していることを意味してもいるのだが。
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3/20に日経の滝田洋一さんが指摘してくれたように、国の一般会計の税収は好調に推移し、1月までの累計は前年同月比+6.4%となっている。本コラムでは、2017年度の税収は、前年度比+3.3兆円の58.8兆円になると予想する。これは、1月までの実績に加え、残り4か月の納税額の前年度比の予想を、所得税は名目成長率実績見込みの+2.0%、消費税は同消費見込みの+1.6%、法人税は企業業績見通しの+8.7%、その他の税は物価上昇率見込みの+0.7%で伸びるとして計算したものである。
同様の簡便な手法で、2018年度の税収を予想すると、2017年度予想より2兆円多い60.8兆円となる。他方、2017年度の補正後歳出は前年度比-1.1兆円であり、2018年度も2017年度並みと思われることから、財政収支は税収増の分だけ改善することになる。また、地方税についても、同様に、2017年度は1.7兆円、2018年度には1.4兆円の増収になると予想する。歳出増は、それぞれ0.9兆円と0.3兆円なので、地方でも収支改善が進む。
これに対して、足下の10-12月期の資金循環は、逆に収支が悪化する形になり、改善のトレンドも見出しがたくなった。おそらく、6~9月に盛り上がった公共事業の払いがなされたことによると思われる。公共事業は、その後、低落し、2017年度補正予算での措置も少なかったので、今後の税収の好調さに連れて、財政収支は改善に向かうだろう。また、公的年金の黒字の縮小も、今期で底打ちを見せていることから、収支改善は一般政府全体に及ぶはずだ。
(図)
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景気の現在の局面は、昨年4-6月期に、輸出と公共の増加が重なることで急速に回復し、輸出の伸長と公共の減退による相殺により高原状態で小休止している。したがって、シナリオとしては、公共が底入れすれば、輸出の順調な増加で景気が再び上向くとなる。しかし、ここに来て、鉱工業生産に頭打ちの兆しが見え、為替も円高に進み、加えて、米トランプ政権の強引な通商政策でリスクが増している。
財政収支の観点では、法人税を左右する、トランプ減税は改善、円高は悪化の要因になる。法人税予測のベースの3月企業業績見通しは、円高が進む前のものであり、予断を許さないところがある。それでも、改善の傾向は確かで、むしろ、抑制的な歳出が景気の足を引っ張らないかが問題であろう。春になって生鮮の物価が落ち着けば、名目での順調な消費の増加が表に出ることになる。そうなるのがベストの展開だ。
一足先に公表された2月の消費者物価指数は、サービス価格、具体的には、運輸、外食、家事、通信教養で高まりが見られた。需給は引き締まっており、外挿的需要に頼らない、内発的な成長の入り口まで来ている。無頓着な緊縮を乗り越え、政治的な外需リスクに耐えて、自律的な成長へと移行できるかが焦点だ。チャンスを逃し続けてきた日本にとって、分かれ目となり得るかなり重要な局面にある。
(今日までの日経)
中国、米国債購入減に含み。301条に対抗。
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3/20に日経の滝田洋一さんが指摘してくれたように、国の一般会計の税収は好調に推移し、1月までの累計は前年同月比+6.4%となっている。本コラムでは、2017年度の税収は、前年度比+3.3兆円の58.8兆円になると予想する。これは、1月までの実績に加え、残り4か月の納税額の前年度比の予想を、所得税は名目成長率実績見込みの+2.0%、消費税は同消費見込みの+1.6%、法人税は企業業績見通しの+8.7%、その他の税は物価上昇率見込みの+0.7%で伸びるとして計算したものである。
同様の簡便な手法で、2018年度の税収を予想すると、2017年度予想より2兆円多い60.8兆円となる。他方、2017年度の補正後歳出は前年度比-1.1兆円であり、2018年度も2017年度並みと思われることから、財政収支は税収増の分だけ改善することになる。また、地方税についても、同様に、2017年度は1.7兆円、2018年度には1.4兆円の増収になると予想する。歳出増は、それぞれ0.9兆円と0.3兆円なので、地方でも収支改善が進む。
これに対して、足下の10-12月期の資金循環は、逆に収支が悪化する形になり、改善のトレンドも見出しがたくなった。おそらく、6~9月に盛り上がった公共事業の払いがなされたことによると思われる。公共事業は、その後、低落し、2017年度補正予算での措置も少なかったので、今後の税収の好調さに連れて、財政収支は改善に向かうだろう。また、公的年金の黒字の縮小も、今期で底打ちを見せていることから、収支改善は一般政府全体に及ぶはずだ。
(図)
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景気の現在の局面は、昨年4-6月期に、輸出と公共の増加が重なることで急速に回復し、輸出の伸長と公共の減退による相殺により高原状態で小休止している。したがって、シナリオとしては、公共が底入れすれば、輸出の順調な増加で景気が再び上向くとなる。しかし、ここに来て、鉱工業生産に頭打ちの兆しが見え、為替も円高に進み、加えて、米トランプ政権の強引な通商政策でリスクが増している。
財政収支の観点では、法人税を左右する、トランプ減税は改善、円高は悪化の要因になる。法人税予測のベースの3月企業業績見通しは、円高が進む前のものであり、予断を許さないところがある。それでも、改善の傾向は確かで、むしろ、抑制的な歳出が景気の足を引っ張らないかが問題であろう。春になって生鮮の物価が落ち着けば、名目での順調な消費の増加が表に出ることになる。そうなるのがベストの展開だ。
一足先に公表された2月の消費者物価指数は、サービス価格、具体的には、運輸、外食、家事、通信教養で高まりが見られた。需給は引き締まっており、外挿的需要に頼らない、内発的な成長の入り口まで来ている。無頓着な緊縮を乗り越え、政治的な外需リスクに耐えて、自律的な成長へと移行できるかが焦点だ。チャンスを逃し続けてきた日本にとって、分かれ目となり得るかなり重要な局面にある。
(今日までの日経)
中国、米国債購入減に含み。301条に対抗。
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