経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

長期停滞論はどこに行った

2022年05月08日 | 経済
 長期停滞論は、リーマンショック後の長い停滞にかんがみて、ローレンス・サマーズが2013年から14年にかけて提唱し、大いに注目を浴びた。その後、予言のように停滞は続き、一時的な回復は見せつつも、2020年のコロナ禍へと至る。ところが、ポストコロナにおいて、米国が積極財政を採ってみると、インフレへと打って変わり、FRBを急速な金融引き締めに走らせることになった。

 これに対して、東京都区部の4月の消費者物価指数の総合(季調値)は、前月比+0.4の101.6にとどまる。2020~21年のコロナ禍では100前後を推移していたものが、1月以来、+0.3,+0.5,+0.3,+0.4と高まってはきたものの、この4か月で、財は+3.1になったが、サービスは+0.4にとどまる。米国のような物価とともに賃金も高まるインフレの様相からは遠く、その意味で、日銀が動かないのにも理屈はある。

 日米の金融政策の差による円安に批判が集まっているが、金融緩和を多少変えたところで、どこまで円安が戻るかは、別問題である。そして、元はと言えば、財政運営の差が日米の違いになっているのだから、ここも改めるべきである。特に、米国が定額給付によって、低所得層に重点的な分配をしたことが要因になっている点を見逃すべきではない。GoToも、ガソリン補助金も、そうしたものでないことに注意が必要だ。

 黒田日銀総裁が言うように、円安が全体としてプラスなら、輸出企業の収益増から税収増にも結びつくわけで、円安のメリットをしっかり還元することがポイントになる。逆に、FRBのパウエル議長には、インフレを収めたければ、消費増税で一発だよと、アドバイスしてはどうか。当たり前だが、経済の調整は金融政策だけでは無理がある。それが未だ長期停滞にある家元たる日本の役割だろう。

(図)



(今日までの日経)
 世界企業減速、増益2%。外国人観光客、来月めど入国再開。インフレ率、10月ピーク2.2% 民間予測。米、0.5%連続利上げへ。EU、ロシア産石油禁輸 年内実施へ。「合格歴競争」格差を再生産。子ども41年連続減 25万人。

※都合により、2週間程、更新をお休みします。


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