KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

ウララ・ウララ・ウラ寒風 ♪♪

2023年10月26日 | 四国の山
石鎚山に始まった四国の紅葉は、次第に標高を下げてあちらこちらの山々を彩っていく。

先週の天狗岳のダケカンバがそろそろ終盤だったので、今週は1,700mから下くらいかな

と行き先を考えていたら、5年前に登ってガスがかかっていて、せっかくの紅葉がイマ

イチだった裏寒風山が思いついた。先週の東稜コースに続いてこの裏寒風山もどちらか

と云えばバリエーションルート。『普通の登山道を歩かんのかいな!』とルリちゃん

たりからの声が聞こえてきそうだが、あっちゃんは既にルンルン気分、私もつい『ウラ

ラ・ウララウラ寒風!』と口ずさんでしまった。(笑)




寒風茶屋の手前の駐車場はほぼ満車。一番奥に空いていたスペースに停めて支度をする。

前回WOCで歩いた時も寒風山トンネルの中が寒かったので、三人ともに上着を一枚羽

織ってスタートした。トンネルの入り口には警備員が立っていて、トンネル内のメンテ

ナンスの作業をしているので気をつけて通ってくださいと言われた。











トンネルの中は、冷たい風が吹き抜け歩いていても寒い。15分ほど歩いただろうか、

トンネルの北側へ抜けるとそこにも警備員がひとり。我々が登山口から登ろうと取り付

きへ歩いて行くと、『先ほども男性が一人登って行きましたよ』と教えてくれた。

見上げると朝日に照らされた裏寒風の岩稜が、ひょこっと頭をだしていた。『あそこま

で登りますよ!』と奥様たちに声を掛ける。『高知77km』と書かれた道路標識と、

その手前のポールとの間が取り付きになる。








取付きからは赤テープを目印に登って行くと直ぐに炭焼き小屋跡の石積みと建物の基礎

の様なものが残っている場所に出た。その小屋跡を左に通過していくと涸れ沢。










涸れ沢を渡りテープを見失わないように更に登って行くと支尾根に出た。今までの広い

斜面に比べると、尾根を外さないように登って行けば間違いがない。













すると最初のロープがかかった岩場。3mほどの高さだろうか、前回は降雨の後で岩が少

し濡れていて滑りやすかったが、今日は乾いていて奥様たちも問題なく登ってきた。











次に岩壁が現れる。ここは足元を左に巻いて登って行く。そして二つ目のロープ場。こ

こは岩と岩の間を登って行くので、さして高度感もなくすんなりと。













こんな雰囲気の支尾根は奥様たちも何度も登ってきているので、ルートファインディン

グも問題ない。ここからあっちゃんに先頭を交代してもらう。もちろん所々にけっこう

真新しい赤テープもある。







右手には朝の光に輝く紅葉。頭の上にも黄色やオレンジ色の木々。そんな色とりどりの

パレットの中を登って行くと、左手に岩稜が見え始めた。










すると目の前にも岩壁が現れる。『え~あれ登るん?』とルリちゃん。いえいえ我々に

そんな器量はありません。岩壁の足元を右に巻いて登って行く。








岩壁の上部が第一展望台といわれている場所だった。トンネルの警備員が教えてくれた

一人で登って行ったという男性らしき人が休んでいた。岩壁の端からはいつも見る正面

からの伊予富士の稜線以上に、デコボコした伊予富士が眺められた。

桑瀬峠から見える寒風山西峰の岩峰の山肌は錦秋の絨毯。
















山頂から南西に派生する岩尾根も、頂上部はもう葉が散ってしまっているが、岩肌の下

部はまだまだ見頃に見える。正面のデベソの岩峰の左を巻いて行くとザレ場になる。

(我々はこの岩峰の右足元を登って行ってしまった)




第一展望台で一息ついたら、まだまだ急登は続いて行く。何ヵ所かロープ場を越えて登

って行くとこの裏寒風一番のビューポイントの第二展望台だ。

















右斜め上には西峰の急峻な岩峰。左上には先ほども見えた岩のドーム。ドームの辺りは

もう枯れた雰囲気だが、西峰の山肌はまだまだ見応えがある。『あっちゃん、ストック

で指してもあんな所は登りませんよ!』

振り返ると伊予富士から続く東黒森への稜線が、先程よりもくっきりと見え始めた。














しばらくの間この絶景に見惚れてため息をついた。するとルリちゃんが『せっかくなん

だからここで写真を撮りましょう』と。『そりゃそうだ、こんなきれいな背景なんてな

かなか無いぞ!』







360度見渡す限りの絶景。南西岩尾根の彩りも、西峰に見劣りしない。










第二展望台から一旦下ってまた登り返していく。今しがた展望台から見た色とりどりの

色彩の中の急登を登って行く。














途中で何気にウエストポーチに手を入れるとデジカメが無い。二つ目のポケットにも入

っていない。第二展望台から途中で何枚か撮ったのでその後だろうと思って引き返すが、

登ってきた道から外れて下ってしまう。急な笹の斜面をトラバースしながら何とか登っ

てきた道に出て、第二展望台まで戻るが見当たらない、すると上の方でルリちゃんの大

きな声がする。『あったわよ~!』目の前が真っ暗だったのが一気にパッと明るくなっ

た。カメラは買えば済むが撮ってきた写真はお金を出しても買えない。




ここにきてやっと右に見える桑瀬峠と同じくらいの標高まで上がって来た感じだ。する

と正面の岩肌に『左へ』のプレートが掛かっていた。










そのプレートの案内の通りに左に折れて進んで行くとザレた涸れ沢。その涸れ沢を渡る

と今度は、下草が伸びた斜面をトラバースして行く。伸びた草で踏み跡が少し分かりづ

らいが何とか奥様たちも渡り終える。














見上げると先ほど第二展望台から見えたドームが随分と近づいて来た。いよいよこの裏

寒風山の核心部のザレ場も近づいて来た。夏に奥様たちとはそのザレ場を下ったのだが

足元が次から次と崩れて、二人ともかなり難儀をしていた。ルリちゃんはずっとその事

がトラウマになっているようだ。









ただ順調のように見えたコース取りもこの辺りから怪しくなってきた。本来なら少し登

って気持ち左に振って進んで行くのだが、そのまま岩壁の足元まで登り詰めてしまった。

左にテープが見えたが上に見える岩壁を前回トラバースした岩と勘違いしてしまい、そ

のまま登って行くと、ダウンロードしていたトラックからはけっこうずれてしまってい

た。横を見ると落石が木と木の間に挟まっている。こんな大きな石が落ちてきて当たっ

たらと思うとゾッとした。














結局この岩壁は山頂からの南尾根の岩壁になる。この岩壁を越えた反対側に寒風山への

いつもの登山道が続いている。先頭を行くあっちゃんには度々『行けそうですか?』と

声を掛け、進んで行けるかを確認していく。時々足元から左側が切れ落ちヒヤッとする

場所もあったが、右手で必ず何か掴んで進むようにとルリちゃんに声を掛ける。













登山道を登っていてもこの尾根の西側は切れ落ちている。その岩壁の足元を今歩いてい

る事になる。場所場所で慎重に進んでくるルリちゃん。岩壁の足元で小さなルンゼのよ

うになった場所では、出来るだけ上へのぼってザレ場の場所の幅ない所を選んで渡る。

掴む木もなく足元がふらつくルリちゃんがなかなか前に足を踏み出せないでいる。それ

を見たあっちゃんが『崩れる前に次の足を踏み出すのよ、忍者のように!』と。



















この辺りから更に左にトラバースして行けば正規の?裏寒風のルートになるが、右上に

空と稜線らしき影が見えたのでそのまま右上に登って行く。







斜面には苔蒸した岩が転がり、ブナの木が立ち並ぶなかなか雰囲気のいい斜面だ。左に

見えている岩壁が、どうやら下から見えたドームの様だ。足元もそれほどザレてもいな

くて先ほどまでと比べると随分と登りやすい。














登りやすくなったとはいえ、二つの展望台を除けばここまでほぼ3時間登りっぱなしで

所によっては四つん這いになって登っているので、結構疲れてきたし、お腹も減ってきた。














ドームの下部の土だまりには大きな岩が転がっている。その下方には第二展望台が見え

た。その展望台はまさに錦に取り囲まれたピークになっている。そこから左は桑瀬峠か

ら伊予富士への稜線が続いているのが見える。
















ドームに沿って登って行くがなかなか稜線にたどり着けない。すると少し上方に数本の

赤い実を付けた木が見えた。近づいて見るとどこかで見た覚えのある可愛らしい実だっ

た。瞬間『タヌキのかんざし』という言葉が浮かんだ。たしか三嶺のマユミの古木にそ

んな名前がついていた。確信を得ぬまま帰った後にFBにアップしたら、流れ星さんか

ら、マユミの木はどうでしたかとコメントが入り、やっぱりマユミの木だったと納得す

る。梅色の赤い実はなるほどかんざしに見える。










奥様たちはそのまま直登で最後まで登って行った。私は少し右に振ってショートカット

してみたら、笹尾根に飛び出した。その笹原を下っていると少し上から奥様たちの声が

した。あっちゃんの後ろに見える岩が、前回歩いて来て行止りだと思った岩の先端で、

あの岩から少し引き返して西にロープ場を下ったのだった。










笹原を適当に下って登山道に出た。その登山道を山頂へと歩いて行くと上から降りてく

る人の姿があった。前を歩く奥様たちは気が付かずにすれ違おうとしているところを立

ち止まってよ~く見てみるとWOCのメンバーの『西川さん!』だった。ひとしきり奥

様たちと話をした後分かれて山頂へと向かう。山頂では思っていたより人は少なく、裏

寒風で一緒になった男性とここでも話し込む。











西を見ると双耳峰の様な手前のピーク。この左のピークの更に左側を登って来たことに

なる。その奥には伊予富士。さらに右奥には筒上山と手箱山が並んでいる。東を見ると

冠山の肩に平家平がちょこんと顔を覗かせている。そしてちち山、笹ケ峰へと稜線が続

いている。








お昼ご飯を食べ終える頃には山頂は我々だけになっていた。写真を撮ったらさっそく下

山を開始する。少し雲が多くなって光の量が落ちてきたが、それでも瞬間瞬間陽の光が

当たるとハッとするくらいきれいな寒風山の南尾根。




















いつもは脇目もふらずに特急電車で下って行く奥様たちも、さすがにこの景色。度々立

ち止まってはため息をついている。桑瀬峠までの稜線の東面も、稜線上の登山道も秋色

一色。いえいえ一色ではなく数十色!














途中から今度は稜線の西面の山肌が見え始める。もちろんこちら側も申し分のない錦秋。











登山道には新しくロープが以前より多くの場所で張られていた。登山道より水分高い位

置に張られたロープも有り、恐らく積雪時用のロープだろうと推測する。たしか今まで

整備してくれていたHさんは引退したと聞くが、また別の人たちの手によるものだろう

か?







西峰の岩峰にも陽が当たり山肌の錦を照らしている。その右横には裏寒風からやっとの

事で辿り着いた尾根の笹原とデベソ岩。こうしてみると西峰の岩壁とてつもなく急峻な

のがよく分る。その岩壁ではなく樹林帯の中とはいえよく登ったもんだと自画自賛。










先ほどまでのロープと同じように、随分上の方まで笹も刈り払われていた。草刈り機を

登山口から持ってきて、担ぎ上げてくるその労力たるものや頭が下がる思いだ。

桑瀬峠まで降りてくると裏寒風と山頂で一緒になった男性もひと息入れていた。ここか

らは寒風山の山頂はもう見えない。東の冠山からの稜線の西面に雲が流れて影を落とし

ている。


















桑瀬峠から樹林帯の中へ入ると周りに見る景色もなく、奥様たちのスピードがどんどん

上がっていった。峠から30分強で寒風茶屋に着いた。茶屋の前には観光客だろうか、

沢山の車が停まっていた。寒風山直下から中腹が今はピーク。これからさらに紅葉の標

高は下がって行くだろう。帰りの車中、奥様たちに次に歩きたい山の説明をしながら高

速を車を走らせる。














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