JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

ソレノイドコイル単体受信

2012年11月04日 | コイル作り


 ソレノイドコイルの巻枠を大きくしていくと、やがてループアンテナとなり、絶大な効果を発揮することは、前作のミニループでわかりました。当初、バーアンテナを巨大化する方向に思考が傾いていたのですが、重さの問題があり、取り回しが良くありません。費用もそれなりにかかります。その点、ソレノイドコイルは巻枠と線材のみなので、軽い上に、コストパフォーマンス的にも分があります。ただし、使う線材の長さ、コイル形状の大きさはフェライトコアの数倍必要となります。

 では、外部アンテナなしのゲルマラジオにおいて、ソレノイドコイル単体で放送を受信できるぎりぎりの大きさとはどの程度のものか?

 我が家の環境は、NHK仙台第一放送(20kw)の原町ラジオ送信所から4km弱。近いことは近いのですが、間にビル群が建ち並び、けっして良い環境とは言えません。窓付近でポケットラジオは普通に聞こえます。前回紹介したとおり、直径2cm程度のソレノイドコイルやスパイダーコイルをゲルマラジオにつなぐのみでは、何も聞こえることはありません。

 そこで今回、直径を3倍程大きくしたソレノイドコイルを作ってみました。線材も太いものを使い、スペース巻きとしました。
 
《材料》
 ・巻枠 直径6cmの塩ビパイプ 長さ10cm
 ・線材 直径0.8mmのウレタン線


ホームセンターで購入した黒い塩ビパイプを10cmに切断


《巻き方》
 はじめに、塩ビパイプ両端に圧着端子をネジで固定。一方の端子にウレタン線を通して圧着しておき、密巻で巻き始める。ちょうど80回巻いてLCメーターで測ったところインダクタンスは162μH。最終的にスペース巻にするので、ここで巻き終わりとし、もう片方の端子にウレタン線を圧着。両端子をはんだ付けしておく。


はじめは密巻で巻く


 続いて、竹串でウレタン線の一本一本の間に隙間をあけていきます。パイプの長さが足りなくなり、均等に隙間をあけることができず、見栄えも今一つとなりました。不揃いなバーコード風。パイプはもう少し長い方が、十分なスペースを確保できたと思います。スペース巻に変更したところで、インダクタンスは147μHに低下しました。

 
 さっそく窓際に置いたゲルマラジオに接続。聞いてみると・・・。NHK仙台第一は明瞭に聞こえてきました。音量は低めではありますが、両耳マグネチックイヤフォンで十分了解でき、音質も良好です。ただしNHK仙台第二、東北放送は聞こえませんでした。また窓から1mほど奥に入ると何も聞き取れなくなります。


外部アンテナなしで両耳ステレオイヤフォンを鳴らしてくれました

ミニループアンテナを近づけると、NHK仙台第二も大音量で鳴ってくれます



 直径6cm程度のソレノイドコイルでも、線材を太く、かつスペース巻にすることによって、かなりのQを確保できるようです。あくまで我が家の環境においての話ですが、これでも十分、無電源、外部アンテナなしで放送が楽しめます。このコイル、なかなかコンパクトかつ軽量で気に入りました。


《余話》

 山仲間のOMの話。この方は、仙台原町ラジオ送信所のすぐ隣に住居があるのです。ゲルマラジオの話をしたら、そんなものを使わなくとも、古い電話の受話器を耳に当てるだけで、放送が聞こえてきたそうです。受話器のコードがアンテナとなり、マグネチックスピーカーを鳴らしてしまう・・・。同調などおかまいなし。何でもラジオに早変わり??  インターフェアと言ってしまえばそれまでですが、強電界においては、そんなこともあるそうです。


コメント