JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

ハンディ用アンテナRH-770

2010年04月20日 | 移動用市販アンテナ
 先日、JARLからQSLカードが届きました。その中に、興味深い交信証が2枚ありました。2枚とも相手局は同じです。当局が蔵王地蔵山に移動した時と、南面白山に移動した時にQSOいただき、相手局もそれぞれ八海山と米山に移動中でした。どちらも印象に残る交信でしたので、カードを見て、すぐにその時のことが思い出されました。

◎9月20日  
相手局  移動地 南魚沼市八海山 標高1778m 
     機種 ID-92   アンテナ RH-770  出力5W

当局   移動地 山形市地蔵山 標高1736m
     機種 DJ-S17 ヘンテナ(シングル) 出力4W

レポート 59-59 交信距離 約200Km

◎9月27日  
相手局  移動地 柏崎市米山 標高993m   
     機種 ID-92  アンテナRH-770   出力5W

当局   移動地 山形市南面白山 標高1225m
     機種 DJ-S17 J型アンテナ 出力0.8W(途中4W切替え)

レポート 59-52 交信距離 約220Km

 わずか1週間の間隔ですが、同じ局であったことにあらためて気がつきました。この方も山岳移動で、ハンディ機を使っていること、かなり遠方からの応答であったこと、にもかかわらず安定した信号であったことは、鮮明に記憶に残っています。交信中、アンテナのことを話したような記憶もあるのですが、てっきり、軽量な八木でも使っているのかな、と勝手に思い込んでいました。交信証を見ると、二回ともロッドアンテナRH-770をお使いだったことが判り、意外な感じを受けました。

 以前、鷹討山で運用している時に、たまたま通りがかったOMがRH-770をお持ちで、その方の話では、ハムフェアで購入したHB9CVと比較して同等だった、山ではこのアンテナで十分と話をされていたのを思い出しました。ハンディ用としては、良く出来たアンテナのようです。

 当局も出張用に1本持っています。ホテルから430で何度か使いました。伸ばすと93センチ、ハンディ付属の1/4λホイップに比べると格段に性能が上がります。ただ、145で使ったことはほとんどありませんでした(いつも出張セットの袋に仕舞い込んでいます)。

 145MHz用のロッドアンテナとしては、同じ第一電波のRH-205というのを使っていて、こちらは、山に行く時に、万が一のお守りとして持っていきます。伸ばした時の長さが134センチ、5/8λ。50MHzの1/4λとしても機能するそうです。メーカーとしては「受信用」という位置づけのようで、耐入力の表記がないのですが、5Wハンディ機なら問題はありません。普通に使えています。グループ登山で時間が限られる時や、狭い山頂の場合は、このアンテナだけで運用することもあります。ハンディ機直結なので、減衰がないのは利点です。そこそこ遠方とも交信できます。


 今回、あらためてRH-770の性能を確かめてみたくなり、RH-205との簡単な比較実験をしてみました。

 《トリフィールドメーターでの送信実験》
 1.5mの距離から送信して、トリフィールドメーターでの数値を読み取りました。出力は0.8W。ハンディ機付属のホイップでまったく触れない針がどの程度触れるかの実験です。

 RH-770  2.5(最大値)
 RH-205  1.5(最大値)

 RH-770の振れの方が少し大きくなりました。ただ、ハンディ機(給電部)を上下に動かすとメーターの振れが変わります。1/2λと5/8λの電圧分布の違いと思います。HB9CVやモクソンアンテナに比べると1/2から1/3で、送信については、過大な期待はできないようです。同じ長さのモービルホイップ同等かと思います。

 続いて、ベランダでの受信実験。ちょうど蔵王町移動局の信号が聞こえていたので、聞き比べてみたところ、どちらもSの触れ方は同じでした。ただ、了解度はRH-770の方が上です。変調に強さが感じられ、聞き取りやすいです。RH-205はバックノイズが大きい印象でした。


上がRH-770 下がRH-205 どちらも第一電波工業


中間のコイルの中に上部ロッドを収納 うまく出来ています


 散歩がてら、ハンディ機とRH-770で近所の大年寺山から運用してみました。大年寺山は当局のホームから歩いて15分程、標高100mあるかどうかの公園です。ハンディ機はいつものDJ-S17、4W。エネループ運用。

 電源を入れて、ワッチしてみると、山形県大江町の移動局のCQが聞こえてきました。山岳移動では時々お相手いただいている局ですが、この場所で入感するとは意外でした。すぐに応答して53のレポートをいただきました。こちらからも53。大江町の大山公園からのモービル運用(アンテナは数十センチのモービルホイップ)だそうです。普通にラグチューできる程の安定した信号でした。距離は約60Kmですが、奥羽山脈があり、ホームからは3エレでも交信できたことはありません。場所もさることながら、RH-770、なかなかの印象です。

 しばらくして、福島市の天上山移動局のCQが聞こえてきました。こちらには52程度で入感。応答したところ、コールサインを聞き返されて、厳しそうな感じです。ところどころ聞き取れなくなる、話の内容を七割くらいしか了解できないとのことで41のレポートをいただきました。何とかファイナルを確認して、無事終了となりました。こちらも距離は60Km程。
 その後、大年寺山の最高点付近からCQを出してみました。仙台市内各局よりお声がけいただきましたが、遠方からの応答はありませんでした。


大年寺山 最高地点付近と北方面の眺望 
最近、高いビルが増えました


 
 以上の主観的で限定的な実験からすると、RH-205より30cmほど短いRH-770ですが、良く出来たアンテナではあるようです。次回の山岳移動の時は、こちらをお守り代わりとして、別の比較でもしてみようかと思います。


《追記》



 AA-200で共振周波数を調べてみたところ、RH-205はなんと153MHz近辺に共振点があり、145MHzバンド内のSWRは2.0~3.0となりました。室内なので周りの影響が出てしまっていたと思いますが、位置を変えて測っても2.0以下になることはありませんでした。これでは、飛びが良くないはずです。念のため、パワー計で測ってみました。案の定、Hi設定で3Wしか出ていません(付属リチウム電池)。RH-770の方は、145MHz辺りに共振点があり、SWR1.2で問題ありませんでした(5W出力)。トリフィールドメーターでの差はこれが要因のようです。


RH-205のSWRグラフ 共振点もさることながら、SWRが下がりませんでした。


RH-770のSWRグラフ 


 それにしてもRH-205は、いったいどういう設計のアンテナなのでしょうか。やはり「受信用」なのでしょうか??







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