このタイプのアンテナの市販品はないと思います。145Mと430Mの両方にマッチングするとのことで、インターネットの自作アンテナのホームページを参考に作ってみました。材料は、いつものようにホームセンターとマルツパーツ館ですべてそろいます。
いちばんやっかいだったのは、中心部、つまりエレメントをX状に固定するための板の加工です。今回は、マルツで見つけた樹脂ケースの蓋を使うことにしました。穴開け加工はキリやドライバーなどの手近な工具で済みました。エレメントはホームセンターで購入した1メートルの銅製の4mm棒(パイプ状でない)2本を半分に90度の角度で折り曲げて、穴開け加工した樹脂製の板に、結束バンドで固定しました。X状に見える2本のエレメントの間隔は、5mm程度としました。
給電部もこの板に固定してしまった方が、設置するときに楽になると思い、同軸コネクタも同じく結束バンドで固定しました。あとは2本のエレメントとコネクターを半田付けすれば完成です。写真では防水と固定を兼ねて接着ボンドを塗ったために見えにくくなっています。エレメントのカットアンドトライもなく、完全無調整で、両バンドともSWR1.5以下となりました。
このアンテナは、作るのは簡単なのですが、いざ設置しようとすると面倒なのです。板の部分を固定しなくてはなりませんし、指向性があるので、回せるようにする必要もあります。当局の場合は、給電部コネクタを板に取りつけてしまいましたので、後は、両端MPMPコネクタの同軸管を取りつけるだけで済みました。同軸管を手で回しながらの運用です。
使用した感じは、指向性があるので、方向を合わせれば、モービルホイップよりも送信、受信とも上だと思います。ただ、このアンテナの指向特性が今ひとつわかりません。相手局に協力いただいて、シャックからベランダに出ては手で回して、またシャックに戻って交信を何度か繰り返しましたが、よくわかりませんでした。
欠点としては、作っているときは感じないのですが、実際に設置してみると、かなり空間を取ることがわかります。板状の部分には風の抵抗も受けやすいです。
当局の環境では常時設置しておけるアンテナではありませんでした。今は、ときどき、室内アンテナとして使う程度です。もし設置できる環境があれば、たいへん安くて、手軽に作れて、性能もよいアンテナだと思います。