一般にエレメントを太くし、電気的体積を大きくすることで帯域が広がります。モービルホイップなどは細く、おおむね狭帯域と考えられます。自分はよくロッドアンテナで自作しますが、太めなので少し広帯域になっているのかもしれません。海外サイトでみるJ型アンテナは2cmくらいある太い銅パイプを使い、広帯域をうたっているものが多く見受けられます。ふと、今回作ったJ型アンテナが他のアンテナと比べどのような違いがあるのだろうと気になり、アナライザーで比較してみました。
場所はいつもの大年寺山。広い山中で一カ所のみテレビ塔や樹木等の影響を受けず、測定や調整をするのに好都合なポイントがあります。アナライザーの設定は145.0MHzを中心にプラスマイナス5000KHz。グラフ左端が140 .0MHz、右端が150.0 MHzとなります。
〈RH-770〉
アンテナ比較でいつもこれを基準としています。10年以上使い続けていますが、劣化した感じはありません。ロッドアンテナなので下の方は直径1cmあり、今回測定したアンテナの中では最も太いエレメントです。グラフ左端から右端までSWR2.0以下。広帯域です。バンド内1.2以下。このアンテナの特性は素晴しく、どこで測ってもこんなグラフとなります。
〈アローライン〉
純正のステンレス製エレメントを取り外し、それよりも太い3mmの銅パイプに換えてあります。ラジアル3本は純正のまま。ただし、角度はさらに下向きになっています。左端から右端までSWR1.8以下。比較した中では最も広帯域でSWRグラフは緩やかです。バンド内も1.2以下。このアンテナも安定した特性です
〈J型アンテナ〉
スタブが5mm、エレメント下部が4mm、上部が3mmの銅パイプ。自分の自作アンテナはこの部材で作ることが多いです。左端がSWR3.0、右端が4.0。他の2本に比べ帯域は狭く、グラフも急カーブを描いています。バンド内ほぼ1.2以下に納まり、メイン付近は他の2本より良好な感じを受けます。
帯域の広さは、アローライン>RH-770>J型アンテナとなりました。エレメントの太さのみでなく給電方式や形状からくる違いもあるかと思います。アマチュアバンド内はどれも1.2以下で、運用上は十分な帯域と言えます。バンド外まで広帯域である必要性は自分にはなく、むしろどこかに無駄が隠れているように思えなくもありません。広帯域を得ることで失われるものもあるのでは・・・? 他の2本に比べ今回製作のJ型アンテナの帯域は狭目ということがわかりましたが、これはこれで良い、と納得した次第です。ちなみにJ型アンテナの上部エレメントを取り外すと430MHzでもSWR2.0に収まります。レピーターアクセス程度であればデュアルで使えなくもないです。
以前はフィーダーで作る方が多かったようですね。興味はあるのですが、フィーダー線で作ったことはないです。線材が手に入れば自分も作ってみたいと思います。メーカー製と違い、一つのアンテナでいろんなニーズに応える必要はないし、コストに厳しくなる必要もないので、思いついたままに作っては試してみる、を繰り返しています。今後とも宜しくお願い致します。
いつも楽しく参考にさせていただいてます。
J型アンテナは何十年も前に造った記憶がありますが、この度改めてフィーダーで作成しました。
かつては、さほど飛ぶ印象はなくゲインのあるモビホの方がいいと思っていました。
しかし、最近ではどうも認識違いだったように思えてきました。
今後も楽しみに拝見させていただきますし、自分もテスト運用を繰り返したいと思います。