JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

可動式ホイップアンテナ

2018年05月27日 | 移動運用装備


 VU帯の場合、少しの位置の違いで大きくSの振れ方が変わることは誰しも経験します。特小交信(422MHz)では、10mWや1mWの微弱な信号を捉えるために、トランシーバーを上下左右に動かしたり、歩き回ったり、入感するポイントを探らなければなりません。信号によっては地面すれすれで入感、などということもあります。まさに電波の通り道を探り当てる、そんな感じです。そこが特小の面白さであり醍醐味でもあるわけですが、それほどに電波というのはまだら模様に到達するわけです。反射や回折はもちろん、地形や大気の状態などで生まれる様々なパスの融合と離散、強まったかと思えば打ち消し合い、生成と減弱を繰り返しながら、パワースポットとデッドスポットを作り出す。VU帯ではその空間の違いはほんの数十センチということも多く、ホイップアンテナであっても、ホットスポットにうまく合わせることでいやでも信号は強まることになります。山岳での運用の場合、アンテナは基本、三脚固定とし、一度設置したら位置を変えることはありませんでした。手元で安定的に可動できるようにすれば、ホイップという利得の不利をカバーしたり、パスの変化を捉えた面白い運用ができるのでは?

 ということで、はじめに思い浮かんだのはレールスライド式。直線のレールの上を数十センチ横にスライドしながらアンテナを動かせるようにする。ベランダに設置したモービルホイップなどもこれができれば、ホットスポットを探しやすくなると思います。でも軽量かつ持ち運び容易で実現可能な仕掛けが思いつきません。とりあえず試してみたのが、三脚回転式。三脚上部先端にブラケットを取付け、そこにホイップアンテナを設置する。様々な種類のブラケットが市販されており、長さ22cmのものを使ってみました。クリップベースの幅が加わるので、半回転48cmの範囲で可動できます。145MHzにおける約1/4λ。

 

 RH770を取り付け、試しにベランダで回転させながら受信してみました。強い信号は回転しても59で変わりません。比較的弱い信号の場合は、かなり変化がみられます。ほとんどノイズまみれで了解できない信号でも、入感ポイントに合わせると56くらいまで信号が上がります。ただ、弱い信号でもさほど変化のないケースもあり、八木を回したのとは違う感触です。交信中の1局はその位置がホットスポット、相手局は同位置ではデットスポット、別の位置で信号がグンと上がるといったケースもあります。ベランダという特殊な環境にもよるのかもしれません。全体的にはRSの変化は予想以上。





 
 本日、萱ヶ崎山山頂。JP7IEL局(大崎市固定)の協力を得て、ベランダ同様、RH770を回しながら送受信を繰り返し、Sの変化を検証してみました。まずは145MHz。こちらの受信ではS5~1の変化がありました。S1のポイントではスケルチ開かず。続いて、送信しながらゆっくり1回転し、レポートいただいたところ、S1~3程度の変化がみられ、もっとも弱い箇所ではノイズが高くなり、耳で聞いてもわかるとのことでした。430MHzもほぼ同様な結果。バンド内ワッチして他の局の交信も聞いてみました。弱いかなと思った信号もアンテナを回転してポイントを合わせることでSが上がり、聞きやすくなります。山頂ではベランダほどの効果は出にくいと予想したのですが、そうでもないです。わずか50cmであっても動かしてみる、八木ではなくホイップを回す、けっこう興味深いものがありました。

 ただ、ブラケットにクリップベースで挟むのみでは、回している間にズレて斜めになったり、グラついたりして、使い勝手がよくありません。実戦で使うにはもう一工夫必要、といったところです。



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