JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

カシミール3D

2011年11月07日 | 運用スタイルなど


 以前から気になっていた地図ソフトの「カシミール3D」。Windows7にも対応したということで、使ってみることにしました。DVD付きの『入門編改訂新版』(杉本智彦著 実業之日本社 2520円)。このソフトは、著者が個人的に作成し配布しているフリーソフトで、解説本と一緒に書店で販売されており、お使いの方も多いと思います。



 どんなことができるソフトかと言いますと、1)山頂などからの展望図を作れる、2)地図からリアルな風景図を描ける、3)その山頂からどの山が見えるのか、また見えないのか判定できる、4)地形の断面図が作れ、登山ルートの高低差がわかる、5)これらをデータ化できる、6)GPSやデジカメ情報を取り込める、等々です。他にもたくさんの機能があるらしいのですが、使い始めたばかりなのでわかりません。

 この中で、特に興味を持ったのは、その山頂から見える山が判定できる、という機能です。「見える」というのは、肉眼で実際に見えるかどうかではなく、「見通し」になっているかどうかということ。なので、無線運用、特にVUにおいて、その山頂間で交信可能かどうかをあらかじめ机上で推定することができるわけです。

 インストールして、さっそく使ってみました。

 「泉ケ岳 特小実験」で書いたとおり、吾妻連峰の一切経山と泉ケ岳との間で失敗した特小での交信。このソフトではどういう結果となるのか?

 ある山からある山が「見通し」であるかどうかを知りたいときは、可視マップの「一発判定」という機能を使います。基本ポイントに泉ケ岳、判定ポイントに一切経山を入力して、判定ボタンを押すと、二つの山頂間の断面図と共に「見えません」の判定結果。地図上に障壁となっている位置が示されます。南蔵王の南端にある不忘山が障壁となっていました。山頂間の距離や他に障壁となりそうな山はないか、などもわかります。


一切経ー泉ケ岳の断面図  障壁あり 「見えません」判定


障壁となっているのが不忘山と判明


 続いて、特小で交信成功した太白山との間はどうか。結果は、「見えます」。表示された断面図を見ると、太白山の北に小高い山がもう一つあって、少し下山すると見えなくなる可能性がありそう。距離は21.267kmと表示されました。


太白山ー泉ケ岳 「見えます」判定


 続いては、「見える山リスト」機能。泉ケ岳から見える山をリストアップします。基本ポイントに「泉ケ岳」を入力し、「見える山」ボタンを押すだけで、山名一覧が表示されます。全部で57山表示されました。北は北上山地の青松葉山(距離158km)や早池峰山(144 km)、五葉山(125 km)、西は鳥海山(95 km)、大朝日岳(71 km)、飯豊連峰の大日岳(112 km)。南は、安達太良山(95 km)、蓬田岳(128 km)、最南端は八溝山(128 km)。安達太良山が見通しというのは思わぬ発見でした。


 さらにこのソフトのすごいのは、「可視マップ」が作れることです。その山からの見通しの範囲を地図に色分けしてくれます。たとえば、泉ケ岳の山頂から自宅が見えるのか、逆に宮城県周辺のどこから泉ケ岳が見えるのか、ということがわかります。

 基本ポイントに泉ケ岳と入力し、計算範囲を半径200kmに設定、計算メニューは「高密度に計算」から「粗く計算」まで4段階で選べます。時間がかかるようなので、粗く計算で作成してみました。「見える山リスト」とほぼ符合するように、可視範囲が地図上に色分けされました。ポイントでなく面的に視覚化されるので、山頂以外にも、この辺りまでは交信できそう、というような推定が可能です。もちろん、反射もあるので、一概には言えませんが・・・。


ピンクに染まったところが泉ケ岳からの見通し範囲 
安達太良山や飯豊連峰も染まっています


 去る10月10日、山形県の月山から下山の途中、「牛首」というところで休憩を兼ねて、ハンディ機でワッチしたところ、新潟県妙高市からのCQが聞こえてきました。思わず応答すると、火打山山頂からハンディ機で運用とのこと。標高2462m。以前も1、2度交信した局で、ロッドアンテナRH770をお使いでした。当局もこの時、同じアンテナを使っていました。距離約250km。レポートは双方とも59。相手局は2.5W、こちらは5W。あまりにも強力な信号で、にわかに信じられない思いでした。今回、カシミール3Dを使って調べてみると、二つの山頂間は完全な見通しとわかりました。たぶん牛首あたりも見通しということでしょう。月山からは白馬岳も見通しとわかりました。


月山ー火打山 障壁なし


 登山ルートを考えて、自分だけの地図を作ったり、そこに様々なデータを付け加えたり、さらに鳥瞰図を作ってみたり、山好きにはたまらないソフトと思いますが、無線好きにもすばらしいの一言です。日本全国どの山頂とどの山頂が交信可能なのか?一日、そんなことをして遊んでしまいました。

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