日本裁判官ネットワークブログ

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選挙と裁判所

2007年07月29日 | Weblog
 今日は、参議院議員の選挙です。選挙というと、立法府の問題ですが、裁判所も何かと事後処理に追われます。後で議員定数不均衡の問題で訴訟になるのは、最近の国政選挙では恒例になった感じもあり、最高裁判決も度々でていますが、この種の選挙の効力や当選の効力に関する訴訟は、高等裁判所以上の裁判所で審理されますから、全国の裁判官に広く関係あるとまではいえません。一方、地裁、簡裁併せて、全国の裁判官に比較的広く関係するのは、地域差もあると思いますが、公職選挙法違反の事件でしょう。選挙が終わると、公職選挙法違反の事件が多数裁判所に押し寄せる可能性があります。まずは、逮捕状、勾留状等令状関係でしょうね。客観的証拠が残りにくく、供述に依拠する性格がある類型の事件です。平成15年に行われた鹿児島県議選中に、鹿児島県志布志町(現志布志市)で起きたとされる事件で、13人が逮捕・起訴されましたが、昨年2月に、鹿児島地方裁判所が自白には信用性がなく、被告人全員に無罪判決を下し、確定したことがありましたが、この事件は記憶に新しいところです。選挙が終わると、裁判所、その前に警察、検察庁、そして弁護士が忙しくなりますね。以下は、読売新聞からです。

悪質な選挙違反を一斉摘発へ、買収や詐偽投票など50件

 全国の警察本部では、参院選投票終了後の29日夜から、悪質な選挙違反の一斉摘発に乗り出す。

 警察庁によると、摘発予定は買収や詐偽投票など約50件に上り、約140人を取り調べる。

 27日までに摘発した選挙違反は、前回(2004年)より9件少ない21件で、逮捕者も10人少ない21人だった。容疑は、ポスター破りや演説妨害などいずれも自由妨害だった。