日本裁判官ネットワークブログ
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 日本裁判官ネットワークのHP(http://www.j-j-n.com/ Judgeの目その9 新たな労使紛争解決システムがスタート)で紹介したことがありますが,平成18年4月から始まった労働審判制度についての座談会が,裁判官及び労使双方の弁護士によって行われ,最新の判例タイムズ紙に掲載されています。総じて,この制度への評価はとても高く,新たな労使紛争解決システムは順調なスタートをきったといえましょう。
 この制度は,① 裁判官(労働審判官)1名のほかに,労働関係に関する専門的な知識経験を有する者から任命される労働審判員2名(人事管理や労使関係の運営などにおける労使の経験者),合計3名で構成される労働審判委員会が審判主体となること,② 原則として3回の審理期日で終結しなければならないこと,③ 審判内容は,紛争解決のために「相当と認められる」内容を労働審判員会が定めることができること,④ 審判に対し,2週間以内に異議が申し立てられない場合,審判は確定し,その内容は裁判上の和解と同一の効力を有し,強制力が生じることなどが特色です。
上記の座談会では,調停の成立率が高いこと,労使の労働審判員の意見が一致することが多いこと,整理解雇など,3回の審理期日で終わりそうにないといわれていた事件も,代理人の熱意によっては適合性があることなど興味深い実情が紹介されています。また,労働事件の手続というと,労働側からの申立てがイメージされますが,使用者側からの利用もされており,もっと使った方がよいという使用者側弁護士の意見が新鮮でした。
 興味のある方は是非上記判例タイムズを読んで下さい。また,労働紛争を抱えた方は,一度,弁護士会,法テラス,裁判所などに相談してみて下さい。

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