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 耳慣れない法律名ですが,6月20日に参議院を通過し,成立したようです。1年6か月以内,すなわち,来年中には施行されるようで,手形に代わる債権の流動化が始まるかもしれません。確かに,このIT時代に,紙の手形を決済等のためにやりとりするのは時代遅れですし,手間がかかり危険でもあります。昔ほど,裁判所でも,手形訴訟などは見かけなくなっています。将来は,手形がなくなり,電子記録債権が中心となって,電子記録債権訴訟や,裁判所の電子記録債権部などが出てくるかもしれませんね。なお,この法律には,手形法のように,電子記録に登録することが譲渡の効力要件であることや,債権の善意取得,人的抗弁の切断などの効力が規定されているようで,とても興味深いものです。
 世界的にはまだ未発達なので,珍しく日本が世界をリードする分野になるかもしれません。以下は,日経ネットからです。(瑞祥)

手形を電子化、ネット取引も・電子記録債権法が成立

 手形や売掛債権などを電子化し、インターネット上で取引できるようにする電子記録債権法が20日の参院本会議で可決、成立した。電子化により保管コストなどの削減が見込めるうえ、紛失や盗難の心配もないため、紙の手形に代わる企業間の支払い・資金調達の手段として普及する可能性がある。債権の分割なども容易になり、債権の流動化を促すことにもなりそうだ。2008年末メドの施行を予定する。

 同法施行後は手形や売掛債権、貸付債権など金額が確定した金銭債権はすべて電子化の対象となる。債権の発生や譲渡、返済による債権の消滅に至るまで電子債権のやり取りを管理する「電子債権記録機関」にネット上で記録するだけで、手続きを終えることができるようになる。

 電子債権記録機関は金融庁の監督・検査を受ける。公平性・中立性を確保する意味合いから金融機関などの兼業を禁止しているが、すでに銀行などが関連会社を通じた参入を目指し検討を始めているもようだ。



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