コメント
 
 
 
ちょっと待ってください!! (峰村健司)
2007-07-21 23:30:39
私は眼科医ですが、かつては「書類送検」と聞いただけで凄く悪いことをした人間がされることというイメージがありました。しかし「書類送検」は警察が捜査を終了した時点で必ずなされることであって、それは警察が事件を受理して捜査したことを表わすに過ぎないということを、法曹と医者の集うブログを通じてようやく理解したところです。医療とはどんなものかをよく知らない警察が、医療事故かも知れないと捜査をしたことだけを取り上げて、やれ「書類送検」だと言って報道するマスコミもマスコミですが、それを法曹それも判事さんがそのまま引用して「刑事事件かも」などと煽るような書き込みには、正直なところがっかりします。
 
 
 
詳細は不明ですが... (Level3)
2007-07-22 21:02:11
麻酔科医です.
報道の書き方にも問題があると思います.
書かれている状況からしますと人口心肺を使用しない冠状動脈バイパス(OPCAB)で血管を縫い付けている時に血流を調節するために掛けていた糸がカッティングを起こして心臓壁に裂け目ができたものと思われます.そして止血のために人工心肺を接続したところ人工心肺から大動脈に血液を送る送血管のところから「大動脈解離」を起こし,結果的には患者さんが亡くなったものと推測されます.
まず「誤って心臓に数センチの傷をつけ出血させた」ですが,どんな名人がやってもある確率で起こりうる事象である思われます.このようなトラブルは人工心肺を用いて循環を保ちながら修復できれば問題ありません.しかし,ここで不幸にして人工心肺の送血管のところから「大動脈解離」が生じてしまったようです.「大動脈解離」ですが,これも頻度は高くないですが人工心肺の合併症として生じるものです.
「人工心肺補助装置のチューブの挿入位置を誤り大動脈を破裂させた」という表現は「医師が初歩的な失敗をした」とでも言うような書きぶりですが,適切な表現とは思えません.
このような医療の中で起こりうる(おそらくは)合併症と言える事象に対して「業過死容疑」などと言われていては医師は医療が行えなくなります.福島の事件でもそれは「はっきり現れていること」です.
いったい何を考えてこのようなものに「書類送検」を行うのでしょうか?
複数の医療関係者の意見を聞いていれば,もう少しまともな判断ができると思われるのですが.

そのうちに国民が医療を受けたくても対応する医師がいなくなります.このままでは2-3年以内に完全に医療は崩壊するでしょう.
厚労省はADRのための組織を作ろうとしているようですが,まとものものを早急に作らない限り崩壊は避けられないでしょう.今回のような患者さんが心筋梗塞になっても,すぐに処置されずそのままお亡くなりになる時代はすぐに来てしまうでしょうね.その時に気づかれても時既に遅しですよ.
 
 
 
医療関係者の意見を聞いたから、書類送検したのだと思います (峰村健司)
2007-07-22 23:53:50
Level3さん

遺族が「業過致死だ」と告訴すると、実際に人が亡くなっている以上、警察は事件として捜査せざるを得ず、捜査した結果がどんなものであれ、必ずその結果を検察に送致しないといけないことになっているはずです。警察は、捜査の過程で当然医療関係者の話も聞いていると思われ、まあ直感ですが「起訴するような事件ではない」という結果を得たと思います。その場合、警察から検察に事件を送致する際に「不起訴相当」の意見が付けられるはずで、この事件はそのまま不起訴で終了となると思われます(あくまで直感ですが)。
となれば、「書類送検」の意味するところは、「患者関係者が不幸な結果を医者のせいだと考えて告訴し、警察がそれを受理して捜査をして終了した」というだけの意味、さらに言えばその前半の「患者関係者が不幸な結果を医者のせいだと考えて告訴した」という程度の意味であり、告訴に際して患者関係者が医療行為を正しく判断できない以上、医療事故における「書類送検」は、ほとんど報道価値がないシロモノとも考えられます。
福島事件以降にも、医療事故で書類送検されて不起訴になった事件はいくつもあるはずなのに、なぜ今回の事件だけこちらのブログでわざわざ話題にされたのか甚だ疑問です。
 
 
 
しかし... (Level3)
2007-07-23 15:34:24
他の事件でもあったと思いますが,「検察審議会」なる素人集団が「不起訴不当」を訴えれば,それが医学的にみて如何に荒唐無稽であっても「起訴される」ことがありますよね.
 
 
 
↑完成しないうちに誤って投稿になってしまいました (Level3)
2007-07-23 15:38:22
確かに,峰村さんのおっしゃるように,告訴があれば警察は動かざるを得ず,そうなると「書類送検」ということになるんですね.

「書類送検」だけで記事をかき立てるマスコミに問題があるということですね.
 
 
 
検察審査会は未知数ですね (峰村健司)
2007-07-25 05:34:26
Level3さん、

そうでした。検察審査会がありました。ただ、検察は福島事件で相当懲りているようなので、検察審査会での不起訴不当で強制起訴となったとき、そのような事案で検察がどの程度身を入れて裁判に臨むか…
ただ、検察があまり気合が入らなくても、裁くのは裁判所だという点に注意する必要がありますね。裁判所は、自らが医療破壊の3大原因の一つであるという自覚を持って、医学的判断以前の次元で、公平に妥当な裁判を行って欲しいものです。(あと2つの原因は、マスコミ、モンスターペイシェント)

医学的判断以前の次元で妥当と考えられない判決の例は、以下のブログでNo.11やNo.34に書かせてもらいました。
http://www.yabelab.net/blog/2007/06/25-110718.php#c65485
 
 
 
遅ればせながら、不起訴処分です (峰村健司)
2007-09-23 22:13:40
読売新聞からです。
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独協医大病院の医療事故死、執刀医ら不起訴処分…埼玉
 埼玉県越谷市の独協医科大学越谷病院で2002年、同市の会社役員の男性(当時67歳)が心臓手術を受けた直後に死亡した医療事故で、さいたま地検は11日、業務上過失致死容疑で書類送検された執刀医の同大教授(59)と主治医(42)を嫌疑不十分で不起訴処分にしたと発表した。

 2人は02年10月18日、狭心症の男性のバイパス手術した際、心臓を傷つけ男性を死亡させた疑いが持たれていた。

(2007年9月11日19時45分 読売新聞)
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あとは検察審査会が変に動かないことを祈るばかりです。
 
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