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<Cool! しりべし>「羊蹄山の神秘的な力」 クリスティアン・ランド

2021-06-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞06/27 14:54
 私事で恐縮ですが、わが家の寝室からは羊蹄山を一望できます。目を覚まし雄大な稜線(りょうせん)が視界に入ると、毎朝この一節が脳裏をかすめます。「朝、目覚めたら『生きること、考えること、楽しむこと、愛すること』の特権に思いをはせよ」。ローマ帝国五賢帝の一人マルクス・アウレリウスが著した「自省録」の一節です。
 「後志地域に住み、生活をしている」こと。それはなんて、恵まれたことなのだろう…と。
 私のスマートフォンには、羊蹄山の写真が多く保存されています。週に何度も、山が見せる特別な光景に目を奪われるからです。ある時は雲が形作った冠を頂にかぶり、太陽が放つピンクやオレンジの光をまとって輝く。別の時は美しい青空や紫色に染まった夕焼けの空を背景に、完璧なシルエットが浮き上がります。
 雪に覆われる冬、緑に囲まれる夏、そしてその合間の春と秋。季節ごと、日ごとに、時間ごとに新しい光景が生まれ、私はその瞬間を捉えようと時を忘れて撮影にふけるのです。
 過去、この地に多くの人々が移り住んできました。背景には、人々を魅了してやまない羊蹄山の力があると感じます。この山は、アイヌ民族にとっても古くから神聖で特別な存在であったとも聞きます。
 冬の休暇を過ごすため訪れる外国人客は「雲一つ無い山頂を眺めることができれば、あなたは幸運だ」と聞かされ、雲が消える度にカメラやスマホを取り出して撮影に夢中になります。 そう、羊蹄山は今や、日本のスキーリゾートを象徴する存在となりました。
 ニセコが有名になった理由としてはパウダースノーやおいしい食べ物、フレンドリーな住民たちの存在などが挙げられます。それに加えこの山が持つ、名状しがたい神秘的な力も、大きく影響していると思うのです。羊蹄山は後志地域にとって特別な存在であり、自然の宝なのです。(powderlife編集長=オーストラリア出身)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/560356

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<ウポポイ オルシぺ>18 ポロトコタンからウポポイへ 旧博物館 改築し活用

2021-06-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 06/27 05:00
 ウポポイは、国立アイヌ民族博物館を中心に、西側には体験交流ホールと体験学習館、東側には工房と管理棟、かやぶきのアイヌ民族の家屋であるチセ群が立ち並びます。
 チセを含め施設の多くがウポポイの開園に向けて新たに建設されたものですが、唯一、運営本部事務所が入る管理棟は既存施設を改築したものです。ウポポイの開設準備が本格的にはじまる2018年3月末まで、ポロト湖畔で旧一般財団法人アイヌ民族博物館が運営したアイヌ民族博物館の建物なのです。
 ポロト湖畔では、アイヌ文化伝承の里ポロトコタンが1970年に開設されてから、半世紀以上にわたりアイヌ文化を紹介する活動が行われてきました。
 昭和30年代の北海道の観光ブームで急増した観光客に対応すべく、市街地にあった観光施設アイヌコタンの機能をポロト湖畔に移し、白老観光コンサルタント株式会社を設立してポロトコタンの運営に当たり、67年には町立白老民俗資料館も建てられました。
 しかし、アイヌ民族やアイヌ文化をテーマとする観光は差別を助長するとの批判を受けるなど多くの問題を抱えていたこともあり、76年に白老観光コンサルタントは発展的に解散し、同年9月にはアイヌ民族を中心に運営する財団法人白老民族文化伝承保存財団(後に一般財団法人アイヌ民族博物館に改称)が設立され、84年にはアイヌ文化を専門に扱うアイヌ民族博物館が開館しました。
 「一般公衆のアイヌ文化に対する理解を深め、教育、学術及び文化の発展に寄与する社会教育施設として設置する」ことを目的としたアイヌ民族博物館の開設は、アイヌ民族への差別やこうした観光に対する批判が大きな原動力となったことは言うまでもありませんが、これまでの活動を支えた先人たちの努力、教えがあってこそ成し得た成果です。
 2018年3月末に閉館するまでの同館の34年にわたる活動は、アイヌの有形無形の文化財の収集保存、調査研究、教育普及をもってアイヌ民族文化の理解促進を図り、文化の継承と創造、発展に資するとともに若い人材を育成する役割を担ってきました。
 ポロトコタンのアイヌ民族博物館の活動はウポポイへと引き継がれ、建物は役割こそ変わりましたが、そのたたずまいは当時のままです。(文・写真 村木イタンキトゥイ=民族共生象徴空間運営本部副本部長)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/560191

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