今日は「クリソベリルの交差三連双晶」です。
昨日、輪島のYさんからのメールに「無名会」の記章の写真がファイル添付されていました。
これは櫻井欽一さんの還暦記念に作成され、会員に配布されたものです。結晶好きだったという櫻井欽一さんらしい記章だと思います。
それは花のようにも見えますし、雪の結晶のようにも見えます。この形はクリソベリルの交差三連双晶という形です。クリソベリルは斜方晶系の鉱物ですが、Cyclic Twin(サイクリック・ツイン)または交差三連双晶という結晶で産出する事があります。まるで六方晶系のような雰囲気です。このような幾何学的な美しさには奥深い自然の神秘を感じてしまいます。このような魅力的な形を記章に使った事に拍手を送りたいと思います。
昨日、偶然の事かも知れませんが、何かのWeb検索をしていて、櫻井欽一さんの「古い結晶学」という文章に遭遇しました。それは「日本結晶学会誌11,130」(1969)の談話室という文章です。その文章には結晶形態学が古い型の結晶学とされている事を嘆いていらっしゃる内容でした。そこにはX線による粉末回析が全盛である事を批判されておられました。44年前の文章です。
その文章には結晶形態を観察する事で「鉱物の生成環境、産出状態、時には化学組成の変化まで推定洞察することが叶うのである。」とあり、「実に結晶は自然が示す最高の美で、その中に包まれる無限の命題に思いをいたす時、鉱物学の前途はバラ色に輝きわたるのであろう。」と締めくくってありました。
この文章にも拍手です。
この文章からは、先日、国連で見事な演説をしたマララさん(タリバン銃撃を乗り越え、子供の教育を受ける権利を訴えたパキスタンの16歳の女の子)の言葉と同じような感動と共感を覚えました。それは櫻井欽一さんならではのお言葉だと思います。
私は櫻井欽一さんとは面識はありませんでした。私が鉱物趣味に目覚めた頃には既にお亡くなりになられていましたし、これまで櫻井欽一さんの文章も目にすることが無かったと思います。
このところ、なぜか時間をおいたシンクロニシティみたいな事がよく起こります。
これは何なのでしょうか?