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鉱物の部屋へのいざない

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ジルコン2

2013-07-12 11:35:43 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「ジルコン2」です。

ジルコン年代学の可能性の事は「ジルコン1」で少し書きました。これからもジルコン年代学は知られざる地球史や日本列島史を解き明かしていってくれるだろう期待できます。これからもジルコンには目を離せません。

そのジルコンの標本、店にもいくつかありました。実はアフガニスタン産の花崗岩の母岩に付いた美しい宝石質の正八面体結晶があったのですが、既に売れてしまいました。買われたのは大学教授の方でした。何となく納得しました。

現在、残っているものは、次のふたつです。

Dscf4371
ロシア ウラル Vishnevye山 産 ジルコン(Zircon)

Dscf4374
ブラジル Bahia 産 ジルコン(Zircon)

両方とも一粒のサイズは1cm位のサイズですが、結晶形がしっかりとしている標本です。上のロシア産のものはピラミッド状の結晶を上下に貼り合わせたような三角八面体をしており、下のブラジル産のものはソロバン玉状のような形をしております。両方とも結晶面がしっかりしており、美しい結晶だと思います。

それにしても、鉱物結晶はどうしてこのような多面体の結晶形をするのか、あらためて不思議に思います。これらの標本が最終形だとすると、多面体の形で我々の前に姿をさらしているのです。このジルコンの年代測定をすると、どんな数字が出てくるのかは分かりませんが、もしかすると結晶の内部には古い時代の記録が隠されているかも知れません。ジルコンは風化や変成には強い鉱物ですから、内部にはこのサイズになる前の古い時代の記録が残されている可能性もあります。古い時代の結晶の核のような部分の結晶形はどんな形をしているのでしょうか?不思議なのは成長が止まって標本となった現在の形が美しい多面体になっているという事です。

もしかすると、成長している過程でも常に多面体になっていた可能性もあります。それはどの時点からだったのでしょうか?それとも結晶核が出来た時点で既に多面体構造をとっていた可能性もあります。成長に費やした時間の長さはどうだったのでしょうか?そして、それはどのような物理的・化学的な環境で出来て来たのでしょうか?環境変化の記録も残っている可能性もあります。

ひとつの結晶から次々と疑問が湧いてきます。それがしっかりと記録を残しているとすると、その中には大きなロマンが詰まっている事になります。

ジルコンは想像力を掻き立ててくれる鉱物だと思います。

コメント
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