トドクロちゃんと山登り

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山岡荘八「徳川家康」を読む。

2019年02月11日 | データ
昨年10月頃から読み始め約4ヶ月を要した山岡荘八の『徳川家康』をやっと読みきった。

この小説は1950年3月から1967年4月までの18年間の長きに渡り新聞に連載された歴史小説で400百字詰め原稿用紙17,400枚に及ぶ大作で文庫本で全26巻もある。
彼は第2次世界大戦中、従軍作家として活動しており鹿児島県の鹿屋飛行場から、多くの特攻隊員を見送るなかから「後を頼む!」と特攻隊員から託され「平和に一つの祈りをこめ」、戦争で亡くなった人たちへの供養として書き綴った作品である。

徳川家康 全26巻 山岡荘八著 講談社文庫
• 第1巻 出生乱離の巻 (於大、広忠の婚姻 家康の出生)
• 第2巻 獅子の座の巻 (今川家へ人質へ行く途中、織田家に拉致される 父、広忠の死 人質交換で今川家に)
• 第3巻 朝露の巻 (織田家の台頭 桶狭間の戦い)
• 第4巻 葦かびの巻 (岡崎への帰還 織田信長との同盟 一向一揆)
• 第5巻 うず潮の巻 (三方ヶ原の大敗 信玄の死)
• 第6巻 燃える土の巻 (武田勝頼との戦い 家臣の裏切り)
• 第7巻 颶風の巻 (信康の切腹 長篠の戦い)
• 第8巻 心火の巻 (武田家の滅亡 本能寺の変)
• 第9巻 碧雲の巻 (羽柴秀吉と織田家の内紛)
• 第10巻 無相門の巻 (秀吉との確執 外交戦略)
• 第11巻 竜虎の巻 (秀吉の台頭 和解)
• 第12巻 華厳の巻 (秀吉との同盟)
• 第13巻 侘茶の巻 (北条氏の滅亡 関東移封)
• 第14巻 明星瞬くの巻 (利休の死 朝鮮出兵)
• 第15巻 難波の夢の巻 (秀吉の死 家康の台頭)
• 第16巻 日蝕月蝕の巻 (石田三成との確執)
• 第17巻 軍荼利の巻 (関東出兵 三成の陰謀)
• 第18巻 関ケ原の巻 (関ヶ原の戦い)
• 第19巻 泰平胎動の巻 (戦後処理 豊臣家との関係構築)
• 第20巻 江戸・大坂の巻 (家光の誕生 内紛)
• 第21巻 春雷遠雷の巻 (国内統治 海外貿易)
• 第22巻 百雷落つるの巻 (大坂の軍備増強)
• 第23巻 蕭風城の巻 (平和交渉決裂 一触即発)
• 第24巻 戦争と平和の巻 (真田幸村入城 大坂冬の陣)
• 第25巻 孤城落月の巻 (大坂夏の陣 豊臣家の滅亡)
• 第26巻 立命往生の巻 (伊達政宗の反乱 家康の死)

戦などの表現よりは登場人物の精神的な心を中心に表現し書かれている。この作品の時代背景は各種歴史小説を読み流れ自体は理解している。ただそのようになった背景の中心に家康の平和への祈りが一貫して書かれいると考えれば納得できる部分も多い。
また、この出来事を歴史事実として調べながら読み進めたが事実を曲げて書かれている部分はない。

家康は先人や自分の失敗を糧にして如何に平和を築けるか考え行動してた。
そして265年に及ぶ世界史でもまれな「平和=徳川の平和(パクス・トクガワーナ)」の時代へと繋がっている。
明治維新もこの265年があってなせた技で、明治維新の原点もここにあると思う。

イギリスの歴史学者、アーノルド・J・トインビービー博士もこの時代を賞賛しているがただ気になるのは彼が言ったが、彼の名言で

『自分たちの国の神話を教えない民族は100年以内に必ず滅ぶ』

といあるのが気にかかる。

昨年から山岡荘八の新太平記(8巻)、太平洋戦争(9巻)、善の巡環 世界のファスナー王吉田忠雄伝、日蓮、徳川家康(26巻)を読んできた。それに関連した地域も大峰奥駆道、富山旅行、静岡旅行と訪れることで自分なりの感慨を深めた。

そして現在は平家物語を読み始めた。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。
『平家物語』第一巻「祇園精舎」より

結局、三つの煩悩、すなわち貪瞋痴(とんじんち)に行き着く。

結局の所、自身を如何に律するかにつながる。

2 コメント

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Re.Unknown (鷲谷壮介) (Unknown)
2020-05-05 14:01:25
コメントありがとうございます。

元々明治維新の志士は凄かったの?
と疑問を感じ色々読み始めたら265年続いた江戸時代に辿りつきました。

歴史は勝者が作るので本質を見極めるのは至難の業ですね。
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Unknown (鷲谷壮介)
2020-05-05 09:53:08
初めまして、鷲谷と申します。

『徳川家康』についての記事を書いた際に参考にさせていただきました!

http://washiya.sapolog.com/e482941.html

僕は元々徳川家康という人物が好きでこの小説を読み始めたのですが、家康誕生時の於大の方の気持ちや、豊臣家との衝突を回避しようとしてしきれなかった家康の気持ちを考えると涙が出てきます。

生涯読める小説に出会えたと思っています!
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