久方ぶりに行われた昨日の党首討論は中々評判が良かった。福田首相がこれまで「クリンチ作戦」と酷評された低姿勢の対話路線から、今までの苛立ちをぶつけるように自説を主張して攻勢をかけ、参議院多数を握る民主党の無責任さを厳しく追及したからだ。
小沢代表は民主党が参議院の多数を占めるという国民のメッセージを福田首相は理解していないと反論した。この討論によって暫定税率や日銀総裁人事に対する考え方の差が明確になった。直接主張をぶつけ合うことによって対立軸が明確に国民に示された。
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銀総裁人事は、一説では民主党の8割は自民党案に賛成だったといわれ、小沢代表の「ごり押し」に反発し本会議で造反者が出た。三度目の副総裁候補は多くの識者が最適任と推す声が高かった。民主党の反対は政局狙いだと批判され、一部で小沢代表の求心力低下が報じられた。
しかし、前財務官が最適任だとしても今回の小沢代表の判断は筋を通したもので妥当だったと支持する。その根拠は日銀トップのポジションを財務省天下りのポストにはさせないというものだ。つまり、副総裁が一人欠けるより財務省の天下りルートを絶つ優先順位が高いという政治判断だ。
仮に反対の本音は政局狙いだとしても、その建前を私は支持する。天下りに代表される我国の官僚の組織的な公金横領まがいの無駄使いは、いまや善悪を云々する領域を越え我国の将来を台無しにする。少子老齢化が進む我国に官僚が無駄使いをする余裕はとっくになくなった。行政システムの効率化は最優先で取り組むべき緊急の政治テーマである。
しかし、現実は昨今話題になっている道路特定財源の無駄遣いに代表される政府系法人の整理は遅々として進まず、道路特定財源がぶっ飛ぶほどの巨額の公金が公務員の老後の為に毎年投じられている。毎日のようにメディアが天下りと無駄使いを指摘してもいまだ改革の兆しが無い。今回の民主党の反対ほど敢然と官僚システムに立ち向かったことはない。
財務省の天下りポストを無くすという「愚直」なまでの小沢氏の筋を通した主張をその一点で私は支持する。先ずは魁より始めよということだ。それが政局狙いだろうと何だろうと最後まで貫き、公務員制度改革が最優先課題として国民に認識され、次の衆院選で民意を問うて欲しいものだ。■