かぶれの世界(新)

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ビスコッティ・リダックス

2012-08-06 23:07:18 | 日記・エッセイ・コラム

誰にでも特別の食べ物があると思う。それを見るだけで、ある時期の思い出がノスタルジックな情景とともに浮かんでくる。私の場合、その一つがビスコッティだ。

米国に住んだ98年頃、シアトル郊外の自宅から高速道路を通って約1時間の田舎町イサッカに通い、毎土曜日マッサージを受けた。終ると直ぐ近くのスタバに行った。特有の焦げっぽいコーヒーとアーモンド・ビスコッティをいつも頂き、自宅に戻りテントを背負って山に入った。

夏の間このパターンをほぼ決め事のように繰り返した。カリカリに焼かれ歯が欠けそうなくらい堅く仄かに甘く香ばしい。焦げっぽいアメリカーナとぴったりの組み合わせで私の定番となった。ビスコッティを見るとマッサージから片田舎のお店、ハイキングの一連のルーチンを懐かしく思い出す。

その後サクラメントに引越すと何故かビスコッティを置いている店が少なく、もっと甘いブラウニーとの組み合わせに変わった。気候と関係があるのかもしれない。日本に戻ると何故かビスコッティもブラウニーも置いてない店が多く、私もそれほど執念深い方ではなく忘れた。

ところがひょんな所でビスコッティを見つけた。それは、2-3年前に作られた最近はやりの地産地消の市場だ。生産者名が印刷され5片が袋詰めされ10袋程度棚に並んでいた。多分、この市に卸すだけで10袋かそこらが1日の総生産量だろう。

アーモンド・ビスコッティを一袋170円で買い、早速コーヒーと一緒に頂いた。長さは米国で見かけたものの半分の10cm程度だが同じように堅く、私の脆くなった歯が折れないよう気をつけて食べた。

私はビスコッティはイギリスの菓子だと思っていたのだが、この記事を書く前にネットで調べるとイタリアのトスカーナ地方の焼き菓子で、エスプレッソに漬けながら食べるのだそうだ。納得できる食べ方だと思った。

私が頂いたのがインスタントコーヒーのせいなのか、こちらの高温高湿の気候のせいか、それとも認知が始まったせいか、15年前の味の記憶までは甦らなかった。それでも暫くの間、イサッカの乾燥した爽やかな夏を思い出した。■

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