日本列島がすっぽり収まるほどの巨大で、ニューヨークを始め東部諸州を麻痺させたハリケーン「サンデー」は、支持率が伸びず苦戦を強いられたオバマ大統領の背中を後押しした。私は、オバマの再選を決定的にしたと感じる。金を賭けるなら、掛け率は1.2倍程度になったと思う。今回は争点が内向きでつまらない大統領選だと以前投稿したが、最後になって味付けが変わった。
ブルンバーグNY市長がオバマを支持すると明言したと、今朝のNYタイムズのニュース速報は驚きをもって伝えた。というのも元々彼は二大政党に属さない独立系で、オバマ・ロムニー両候補に批判的だった。オバマは地球が直面する気象変化の危機に立ち向かうリーダーとしてベストと思うようになったという。(ちょっと格好付けすぎの理由だ、NYを助けてくれたでもいいと思うが。)
今回の災害は東部諸州に甚大な被害を与え、120年振りにNY証券市場が二日続けて閉める事態となった。迅速に対応する大統領の姿がテレビで伝えられ国民に強い印象を与えた。世論調査では70%前後が今回の対応を支持すると答えたと報じられている。今まで巨額の選挙資金を使ったキャンペーン以上の効果があった。
大統領選は支持率の差が1%程度のデッドヒート状況で、投票日の直前になって吹いたハリケーンはオバマにとって正に神風だったと私は思う。たったコンマ数パーセントの投票が動くだけで勝敗が決まる程の接戦で、NY市長と同じ考えをする人がその程度出てきてもおかしくない。
オバマはそういう運命にあると感じる。イラク戦争をどう収束させるかベトナム戦争の英雄マケイン候補と争った前回はリーマンショックの大嵐の中で、終盤で経済オンチが暴露された対立候補に差をつけた。一転して今回は対立候補ロムニーがファンド経営の成功者であり、過去4年間のもたつく米国経済回復をオバマの経済失政と攻め立てられ支持率が逆転したところの神風だった。
本質的なところで今回の大統領選の争点はただ一点に絞られる、それは「富裕層がもっと税金を払うべきかどうか」の国民投票であるとFT(英ファイナンシャルタイムズ)の記事(R.Reich UCB教授)は指摘している。ポイントをついた端的な指摘だと思う。大統領選挙の結果を反映して実行されると、少なくとも今後4年間の国の性格を決める最も重要な政策となるだろう。
だが、現実はコンマ数パーセントの選挙民はテレビに映るオバマの姿を見て投票し選ぶはずだ。それが選挙結果に決定的な影響を与えるだろう。というのが例によって根拠がイマイチ定かではない私の選挙直前の大胆予測だ。国の形なんか関係ない。民主主義の最も重要なプロセスを馬鹿にする積りはないが、意外と同じように感じている人達が多いのではないだろうか。■
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