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私的・円安進行を待つ事情

2024-05-14 20:54:51 | 社会・経済
最近の円安進行は悪者のように報じられている。私が会社勤めをしていた頃は円安は救いの神、円高は悪魔だった。円高の進行はかつて受験を控える子供と家内を置いたまま、私一人で海外赴任して仕事をする羽目になった。逆に、円安と聞けば無意識にホッとするものがある。

今年になり正月明けると一旦ドル141円台に円高が進んだが、2月半ばには一気に150円台に、4月後半に更に円安が進み一時160円台になり、マスコミは連日円高で大騒ぎした。私が会社勤めを始めた頃はドル360円に固定された時代で、70年代末初めて米国出張した時ホテル代は16ドルだった。会社の経理からトラベラーズチェックを渡され、現地で現金に両替した。

それが、240円、160円になり、80年代後半の高度経済成長時代は70円台にまで上昇し驚いた記憶がある。私の職場では海外向け商品を開発生産し輸出を担当していたが、この為替レートでは事業が成り立たないと深刻な事態になった。当時、私は平の技術者で経営云々より開発した製品が高性能でキチンと動くことが責任だった。

競争会社はどこも円高対応で海外子会社で生産するか、内外の生産会社にOEM生産委託するかの選択を強いられた。私の勤める会社は米国東海岸の販売子会社の下に、西海岸に工場を作り生産する決定をし、私は工場責任者として赴任するよう指示された。国内の生産責任者は英語を話せず家庭の事情も考慮して、英語が使える技術者の私が生産に素人なのに米国に派遣された。

そんな経験からいまだに私にとって円安は救いだ、単純に天邪鬼だからではない。今年の為替市場の円安大騒ぎは当時大騒ぎした円高とは全く逆だが、私が米国工場に突然赴任することになった時のことを思い出した。今回だって、トヨタ自動車をはじめ多くの企業は円安の追い風を受けて巨額の利益を記録した。マスコミは海外から購入する食料等の消費財が極端に高値になり、物価高を嘆く消費者の声ばかり報じた。マスコミは都合が悪いことばかり集中的に報じると感じる。

田舎で一人暮らしする私はなるべく経済的な買い物をし、家計が苦しいとは思わない生活をしてる。顔見知りのスーパーのレジの女性と情報交換すると、彼女は時期や種類によって野菜に限らず乳製品や卵など食品の値段が高騰したと明言した。だが、同時によく調べると安定した価格の食料品もある。どう工夫しながら生活していくか、やり方は色々あると彼女は言いたいようだ。

実は私には私の事情がある。先に投稿したように、円安で海外出向したおかげでドルベースの金融資産がある。主力のドル以外にもインドやブラジルベースの資産投資があり、儲けることもあれば損することもある。一方的に円安が進んで損するばかりではなく、儲けたり損したりする投資が私を救ってくれている。それが私が海外で働いた経験から生まれた知恵だと思う。今だからこそ、私は円安進行を待つ事情がある。円安も悪くはない。■

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