帰京の日程を決めてから重い腰が上がった。先送りしていたことを一気にやる気になった。先ずはお彼岸になってもやらなかったお墓掃除を日曜日にやった。毎日お墓を見てやらなきゃと思いながら何もしなかった。明治以前の先祖は実家に続く山の斜面のお墓に葬られている。数年前買ったブロワーでも堆積した落ち葉が飛ばず、スコップで削ってやっと吹き飛ばした。
次に明治以降の先祖が眠るお寺に向かった。途中山門の近くでオバサンが箒を担いだ私を見て、朝お寺に沢山の人がいたが何故かと聞いてきた。誰にも馴れ馴れしい私の雰囲気を感じて聞いたのだろう。お彼岸にお墓参りできなかった人達が来たのではと応えた。私もその一人だ。実際、我が家の墓だけ雑草が生えて、先祖は肩身の狭い思いをさせたと気が留めた。
もう一つが、家の周りの庭と表通りの緩斜面にある畑の雑草だ。暖かくなって日に日に雑草が伸びてきた。散歩の途中に畑を見ながら何とかしなきゃと思っていた。お墓参りした翌日の午後除草剤を撒いた。例のクサトローゼというふざけた名前の除草剤を400倍の希釈率で2回に分けて8リットル噴霧した。
これが実は失敗だった。その翌日、つまり昨日は朝から生憎の雨で除草剤は洗い流されたはずだ。今までは除草剤を撒く時はいつも天気予報を確認していたのだが、昨日は思いつきで突然やったのでうっかりしていた。
「多少は効き目がありますよ」と、サンルームの再見積もりをもって昨日午後に来てくれたホームセンターの営業の人が慰めてくれた。すっかり忘れていた。前回より7割も高い再提案なので時間の無駄と直ぐに断わった。彼もメーカーのやる気がないとそれ以上勧めなかった。替わりに、サッシの代わりに地元の建具屋に頼むことで合意し、帰京予定の6月に再挑戦することにした。
実はその後の話が長かった。彼も私も話好き、話のタネは尽きなかった。中でも最近の愛媛中南部の住宅事情が面白かったので紹介する。最近の住宅事情は驚くばかりの大変化が起こっている。一昔前に流行った二世代住宅は上手く行かず彼が手がけた半数以上は別居してしまったという。特に玄関を共通にしたところは全滅だという。
今は親が「金を出しても、口は出すな」で、仮に同じ敷地でも別棟にすることを勧めるそうだ。基本的に価値観や好みの違いが決定的なのだそうだ。床の間や違い棚など先ずお目にかかれない、仏壇や神棚があっても隅に押しやられ、押入の替わりにクローゼットが作られるという。そりゃ親とは意見が合わないだろうと納得した。
それだけではない。例の建築偽装事件と耐震構造実験の映像が公開されて以来、住宅を作るプロセスが激変したという。以前は家のコーナーに大きな窓ガラスを付けるのが流行だったそうだが今は全くない。個人客は建てたい住宅のスケッチを自分で作り、それを建築士に持ち込んで設計してもらい、その図面を元にインターネットで見積をとって建築会社を指名するという。それが結構しっかりしているというから、凄い。
工法はカナダなど海外から入ってくる安価な材料を使ったもので、従来工法の職人を抱えた建築会社・工務店は切り替えが出来ず苦境に陥っているという。従来工法の住宅より居住性に優れ耐震性や省エネルギーでも進んでいるというが、ノッペラボウの壁の上に屋根が乗っかった形は和風住宅に比べ風情がないと私は思う。少子化を反映して平屋が多いのも特徴だという。東京の事情はどうだろうか、いつか聞いてみたいものだ。■
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