恒例の「大胆占い」の3ヵ月おきの見直しをやる。今回は「大胆占い」のベースになる「大胆仮説」を紹介する。根拠薄弱の珍説かどうか、当たるも八卦当たらずも八卦。
世界経済は緩やかに回復
3Q(7‐9月)は世界経済が回復途上にあることが誰の目にも明確になった3ヶ月だった。昨日発表されたIMFの世界経済成長率は今年マイナス1.1%、来年3.1%で、そのうち来年は米国1.5%、ユーロ圏0.7%、日本1.7%であった。7月のIMF予測より上方修正だったが、回復速度は緩慢になると予測されている。私も3ヶ月前はもっと早いペースでの回復を予測した。
私の解釈は、背景に日米欧など先進国で消費者が合理的消費スタイルに構造改革して、新しい消費マーケットに変化しつつあると推測する。この変化は何年か前に戻るといったものではなく、かつ非可逆性(元に戻らない)の本質的なもので、既に多くの企業は新しいパラダイムに向かって模索し適合させようと手を打っている。(確度0.7)
合理的消費が新たなパラダイム
典型的な消費スタイルの変化例は日本だ。バブルが弾けてもブランドを買い漁る(世界的にも稀で驚異的な)消費者が牽引した日本市場が、いまやブランド離れは全世代にわたる。PBブランドの廉価商品が棚の前面に並び、ユニクロや古着に対するアレルギーがなくなった(NYタイムズ)。
これは安くて良い商品、安全だけど過剰な品質機能を削ぎ落とした商品を求める合理的な消費者への変化であり、決して一時的なものではない。日本の消費者はバブル時代と同じ消費行動をとって来たが、今回の世界同時不況以来やっと普通の世界市民の感覚を取り戻しつつあるというのが私の印象だ。
これは程度の差はあれ世界共通の、世界市場の等質化に向う動きのように感じる。縮小する日本市場では限られた予算の中で開発費削減の為、否応無く世界的なトレンドに合わせた商品が棚に並ぶようになるだろう。それが生き残る道だ。(確度0.5)
この消費嗜好の世界的変化を前提に、3ヶ月前の「2Q見直し」で指摘した米国住宅市場、新興国、日欧の停滞、新たな過剰流動性についてこの3ヶ月で何が変わったか触れてみたい。全体として世界経済は底を打ち3Qは回復に向う予想は当たったが、回復ペースは意外に遅かった。
米国消費の変化が世界経済回復を規定
先ず注目指標である住宅価格は全米レベルで下げ止まって、若干だが上昇傾向が見られ、期待先行から実体経済が回復途上にあることを裏付けられた。予想通りだが、実体経済をより直接反映する商業用不動産は停滞し、遅行指数の雇用は依然悪化している。政府の景気対策が切れ2番底が来る可能性が十分あり、年末までに新たな景気対策が必要になりそうだ。
これまで世界経済を牽引してきた過剰消費が一転して貯蓄率を上昇させているのは、米国消費者の非可逆的変化のシンボルである。だが、これは中国など輸出依存度の高い新興国の輸出不振を招き、冒頭に紹介したように世界経済回復のテンポを緩慢にしている。
好調な中国でさえも内需の伸びを上回る輸出の落ち込みが、先行きを不透明にしているとの分析がある。世界経済の両輪は依然として米国の消費回復と新興国の成長である。私は鳩山首相の唱えるアジア共同体のような地域ブロック化的発想より、より密接に結合した世界市場で生きていく発想により我国の可能性を感じる。だが、現下の政治環境はそのような展開にはならなさそうだ。(確度0.5)もちろん程度の問題だが。
日本の回復は底を這うような道を辿る
昨日発表された日銀短観は全体として6月時に比べ日本経済が製造業に引っ張られて回復していることが明確に示された。非製造業の回復が進まず、設備投資は不調、求人は依然最低レベルにあり雇用環境は改善されていない。その意味するところは「内需不調」である。
上記の世界経済環境下で頼りの輸出の伸びが抑えられる一方、内需回復の兆しは全くといっていい程見えない。まだ何ら効果的な経済施策を打ち出せない上に、新政権自体が市場の不安定要因となって円高株安のダブルパンチで先々の不透明感が増している。日本経済は自律性を失い、底を這うようなL字型の回復が続く可能性が極めて高いと予測する。(確度0.7)
再びリスクマネーが再び跋扈し始めた
実は、経済回復の影の主役が各国政府の救済対策が生んだ過剰流動性だ。安全な資産に逃避していたグローバル・マネーはリスク許容度を高めて、安価な通貨に姿を変えこのリスクマネーは新興国に投資されて経済回復の潤滑油になっている。
一方で、それは投機マネーになって既に貴金属や資源等にミニバブルを発生させている。世界同時金融不安発生の原因となった金融商品取引の規制を議論している最中にも、リスクマネーはより良い投資機会を求めて世界を駆け巡っている。早急に適切な規制を導入しなければ世界は再び悪夢を見る恐れがある。(確度0.4)
ちょっと寄り道: 政権交代
ところで、民主党が圧勝した総選挙の結果は衝撃的であった。結果論になるかもしれないが、最大の貢献は麻生首相だった。彼が解散を遅らせれば遅らせるほど自民党の傷を深めた。リーダーとして最も選んではいけない決断できない人だった。国家の危機の時こういうリーダーしか選べない自民党は、その総裁決定プロセスが機能しなかったことを含め、下野するしかなかった。
我国の組織は官僚や自民党に限らず、自ら大手術をして癌を摘出することが出来ない。異論はあるだろうが、私の目には民主党がより過激に小泉改革を実行しているように映る。下野した自民党は民主党のエラー待ちでなく、果たして自らチェンジして政権を取り返せるだろうか。(確度0.2)
エラーの交換で政権交代頻発は最悪だ。といっても、例えば経済回復が大幅に遅れれば(その可能性は高い)、民主党政権が安泰とは言い切れない。(確度0.6)
お楽しみ: 天才イチローが見せた衰え
MLB日本人選手が苦戦するだろうという予測はズバリ当たった、イチローを除いて。イチローの凄さは常人では計り知れないものがある。だが、そのイチローも今年は体調不良やケガやで十数試合欠場に追い込まれた。万全の備えをしてもベストの状態で戦えない時期が来るという意味で予測の一部は当たったといえる。松井は既にそういう状態になった中でよく頑張ったといえる。
先の欧州遠征は、日本代表サッカーがアジアの日本から世界の日本になる課題を明らかにした。私は戦術に間違いはないと思うが、最後までその戦術を実行できる体力知力・シュートが枠内に飛ばない決定力・ゲーム中の監督の判断の遅れの3点が特に問題のように感じる。来年の南ア本大会までにどこまでレベルアップできるか注目していきたい。■
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