かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

スコットランド住民投票が突き付けた問題

2014-09-20 12:15:48 | 国際・政治

 スコットランドの独立を問う住民投票は妥当な結果に落ち着いた。私はスコットランド独立運動を理解はしても、同時に「大の運命を小が決める」不条理さを感じていた。スコットランドが独立したら英国の経済から安全保障まで破壊的な衝撃を受けるのは間違いない、独立派は「そんな事知ったことか」という姿勢だった。それでも英国は民主的なプロセスで処理した。

 この「大の運命を小が決める」状況は世界中にある。ウクライナの親ロシア派の反乱から、よく引き合いに出されるスペインのカタルーニャ、バスクやベルギーのフランドル地方の分離独立運動だ。中国にも多くの火ダネがある。武力弾圧から憲法規制まで対応も夫々だ。

 「大の運命を小が決める」パターンはもっと範囲を広げると、沖縄の米軍普天間基地から辺野古へ移転するか否かを名護市長選結果、或いは沖縄知事選結果で判断することも同じだと思う。つまり「国の安全保障を市長選或いは知事選で決める」ことになる問題が延長線上にある。

 国家的危機になるかも知れない決定を、たった8%の地域の住民投票に依存した英国の民主主義プロセスは、私には驚きだ。キャメロン首相は国を危機に陥れる決定をしたと後世の歴史家は評価するかもしれないと私は推測する。彼は独立反対派が間違いなく勝つという読みがあったと思う。結果的には英国の長い歴史の(巧妙な)知恵が勝ったとでもいえばいいのだろうか。

 だが、保守党が総選挙に勝てば2017年に英国がEUに留まるか否か国民投票にかけるという。今度は英国がEU崩壊の恐れのある国民投票をする、「大(EU)の運命を小(英国)が決める」状況になる。何だか問題のマトリョーシカが延々と続く。

 民主主義はタダではないが、払うべきコストは時に破壊的だ。特にそれがポピュリズムに繋がった時、払うべきコストは大きくなる傾向がある。それでも中国やロシアよりましだと思うが。■

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オヤジの背中 | トップ | 血圧実験(3) »

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事