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米国中間選挙迫る - カール・ローブ健在

2006-11-03 18:35:14 | 国際・政治

米国中間選挙でカール・ローブ補佐官のプレゼンスがないと書いたものの、注意深くニュースを追うと今回も彼が選挙を仕切っていることに違いはなく、訂正して追加したい。今回イラク情勢悪化の為大統領の支持率が低迷し明確なメッセージが打ち出せず、個々の選挙区に合わせた戦術的な活動にフォーカスする選挙戦略をとっているように見える。

LAタイムズによれば、カール・ローブの選挙戦略は保守層の活性化、共和党組織の機能発揮、連邦政府の徹底活用の三つの領域を組織的で効率的に仕切っている。フォーリー元議員のセックス・スキャンダルが暴露されレーノルド候補が苦境に立った直後、連邦政府が地元フロリダのハリケーン被災地への援助を決定したとレーノルド氏が発表し支持率を取り戻した。

カール・ローブの采配で激戦地の事情に合わせて次々とこの手のテコ入れがなされる。例えばミズーリ州のタレント候補の母親が乳がんで亡くなると、「乳がん月間」の行事にローラ大統領夫人を現地に派遣しタレント氏と現れ支援を表明した。同様に運輸省がオハイオ州に高官を派遣し、空港・鉄道・高速道路を集約するハブ建設計画の承認を発表、激戦中のプライス候補を支援した。サンフランシスコの環境派に強く非難されていたポンボ候補の為ブッシュ大統領は湿地帯保護法のサインを中止した。日々単発で現れる各地のニュースの裏でカールがシナリオを書いている訳だ。

配下の選挙マシーンはコンピュータ技術を駆使して支持者を分析し、最終的に投票行動に結びつける為の一連の運動を指揮し、選挙のプロに加え企業やビジネス界の指導者まで総合して統一的な活動になるようにマネージしている。2000年、2004年の選挙で組織的活動に劣る民主党に比べ非常にうまく機能したやり方だ。

今回はイラク戦争のダメージは余りにも大きく、カール・ローブは寧ろダメージミニマム(最悪上院で過半数を確保する)の観点から運動を指揮しているという見方もある。最大の争点はイラク戦争だが、現状では誰にも解決策のない深入りしたほうが負けのブラック・ホール的なテーマだ。

共和党に比べ組織の弱い民主党はブッシュの不人気を効果的に利用出来ないでいる。説得力のある「イラクからの出口戦略」を打ち出せないのだ。民主党の中でも意見が割れている。日本のように無責任に代案のない非難の為の非難などしようものならすぐ見破られて信頼を失う。

これを見越した「選挙の天才」カール・ローブは、共通テーマはあえて曖昧にし、地元密着テーマを優先する戦術を選択し、意外と善戦している。そうなると最終的に前回の大統領選のようにキリスト教右派がキャスティング・ボートを握るかもしれない。それが劣勢の前評判にもかかわらず、共和党が上院で首の皮一枚で多数を確保する予測の根拠になっていると思われる。■

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