かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

バーナンキの8年

2014-02-02 12:40:40 | 国際・政治

 バーナンキ米連銀(FRB)議長が1月末に任期満了で退任し、後任にイエレン議長が就任した。丸顔の新女性議長に焦点が集まっている。だが、バーナンキが辞める最後のFOMCで量的緩和縮小を粛々と進めていく姿勢を明確に打ち出し、新議長の独自性を云々する前にとりあえず今後のFRBの方向性を示したと思う。バーナンキの置き土産と言える。

 バーナンキは2006年にFRB議長に就任して間もなく2008年にリーマンショックに見舞われた。2007年にサブプライムがもたらした住宅バブルが金融技術商品を経由して世界信用危機に発展するとは、当時の財務長官も含め殆どの金融行政関係者が直前まで予見してなかった。米国を中心とする金融ビジネスと行政が作った致命的なミスだった。一旦問題が表面化した後の対応はいかにも米国らしく素早く大胆だった。ここが日本とは違った。

 バーナンキは金融危機を予見できなかったが、リーマンショック後の量的緩和をはじめとする対応は的確でありその責任を果たしたというのが私の評価だ。3次にわたる量的緩和は総額で我が国のGDPに匹敵する巨額なものとなりヘリコプターマネーと揶揄され、特にQE3はやり過ぎで新たなバブルを生む恐れがあると、当時私は禁じ手と言って批判した。

 だが、結果的にはバーナンキの判断は正しかったと思う。雇用と住宅市場は徐々に改善し、米国経済は緩やかな回復軌道に乗せた。米国内で消化されなかったヘリコプターマネーは世界市場に向かい、新興国の経済成長に必要な資金源となって貢献した。一度も謝ったことはないが、バーナンキの金融政策は結果的にリーマンショックを惹き起こした米国の失敗を償ったと言える。

 量的緩和縮小の方向付け(小出しの縮小と低金利継続のフォーワードガイダンス)を退任に先立って行ったのも、私はバーナンキの成果として指摘したい。量的緩和縮小による資本流出は新興国経済を選別する機能が働き、中国は別格として他の国家資本主義の経済運営に改革を迫る強いメッセージになっていると思う。次のG20で新興国がどういう意思表示をするか注目したい。一方、投資する側も選別する目利きが求められる。意味のある去り際だったと思う。■

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自転車事故の損益計算 | トップ | 世界に羽ばたくゆとり世代 »

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事