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生前退位を拡大解釈する

2016-08-11 21:18:58 | ニュース
天皇陛下は「生前退位」に強い意向を示されたと報じられた。報じられたように陛下が「象徴天皇」の果たすべき役割を、極めて重要で妥協できないものと捉えていたからと私も思う。それは現憲法下では何ら具体的に規定していない役割で、極めて陛下の個人的な信念に基づいたものだが継続すべきと思う。

そして、極めて強くて揺らぎのないもののように感じた。今までの陛下が象徴天皇として信念を持って実行してこられた事を支持したい。これまでに陛下が遂行された役割は、結果として極めて政治的な効果(良い)をもたらしたのは間違いない。憲法の規定に関わらず特に海外訪問は結果として極めて政治的だった。

今回の陛下の強い意向に接して色々な意見が報じられた。落ち着いたところで、私が普通の国民として受けた印象を紹介したい。報道は押しなべて生前退位を示唆する強い意向と報じているところをみると、周りの人々は陛下のご意思を感じ取っていたことになる。政治的なかかわりは禁じられているとはいえ、結果として放置され先送りされたように感じる。

生前退位に限らず陛下や皇室全般に関わる事柄になると、人々は口をつぐみなるべく触れないようにする。こういう時は特定の限られた人が出て来て普段は使わないような言い回しで遠回しの発言をする。その間に陛下の本当の気持ちがどこかに消え失せていくようで、議論は曖昧になり先送りされてきた印象がある。

誤解を恐れずに言うと、陛下とか皇室に限らず特別な立場の人や体制の在り方の見直しが求められている時なのに、日本全体にその種の先送りが起こり土壇場に追い詰められて初めて対応する傾向がある。同じ延長戦上で政治資金や会社の不祥事が何年も続く。難しいのは必ずしも先送りが悪とは限らない、逆の場合もあることだ。

問題は議論自体がタブーになることにある。その間に少数派から建設的でない極端な意見が出て来ると、結果的に現行システムを守る側に注力せざるを得なくなり、議論が捻じ曲げられるか先送りになる。本来あるべき建設的な改革機運が消滅してしまう。

憲法改正に関する議論もこんなパターンの一つのように私は感じる。少しでも良いものにして行こうと普段から冷静に時間をかけて議論していく、その中から最善の解を見つけていくことが何故出来ないのか。私には陛下の意向はこの先送り体質全般を警告する強いメッセージではなかったのかと思う。我田引水とは思わない。

報道によれば生前退位についても考えるべき事が山ほどあるようだが、ゼロからスタートするような事態になるなら絶望的だ。立派なことを言う識者が実は今まで何の検討もせず責任を果たしてなかったことを白状するようなものだ。そうでないことを祈りたいし、これを機会に日本人の先送り体質を払拭してほしい。その意味で陛下のメッセージは「生前退位」を越えた問題を国民に問いかけるものだったと思う。■

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