昼前に入ってきたファイナンシャルタイムズ(FT)のニュース速報は、2月の消費者物価指数が0.3%下落と鉱工業生産指数の意外な低下を伝えるものだった。専門家の声を引用して黒田日銀総裁の「2年で2%物価上昇」という日銀の目標が容易では無いだろうと続けていた。
ところが昼食時にテレビをつけると、TBSのニュースバラエティ番組が特集を組んで物価上昇の状況と、原因としてアベノミクスによる円安や原発停止等をあげていた。物価動向という同じようなテーマなのに、真反対の評価に面食らい何故そういうことになるのか怪訝に思った。
理由は簡単で視点が違うと真反対の問題指摘になる端的な例だと思った。FTは今世界が注目しているアベノミクスの行方を注目し、それが上手く行かないかもしれない兆候を見つけて問題を指摘した。一方、TBSは昼時の主要な視聴者が家庭の主婦を意識した取り上げ方だ。
どちらにも夫々の既定のシナリオがあり、それに基づいた伝え方をしていると私は感じた。どちらも全体像を把握して伝えるより自己の主張に沿った個別情報をピックアップしていた。同じ物価といっても全体動向を取り上げるか、特定品目を取り上げるかで様子は随分違う。
FTは消費者物価を短期間に2%上昇させ経済を活性化するというアベノミクスに懐疑的で、現時点でのマイナス情報を見つけて実行がいかに困難か印象付ける記事になっていると感じる。それでも、総務省発表のデータの内訳を示し一応両論併記のスタイルをとっている。悪く取れば言い訳を織り込んだということだ。
だが、日本のテレビとなると完全にミスリードを狙った内容としか思えなかった。2月の消費者物価指数はテレビ価格の下落等でマイナス0.3%と4ヶ月連続の低下なのだが、番組はガソリンや電気料金と輸入食料の上昇のみを伝えた。
生活者視点からだと言訳が聞えそうだが、それなら同時に生鮮食品が大幅に下落したと一言も言わないのは変だ。出演者に「おつむ」を期待していないが、製作者には正しく伝える責任がある。一時が万事こんな調子だ。FTは両論併記した上で巧妙に自己主張する狡さを感じた、多分それがジャーナリズムのあり方で私はしょうがないと思う。民放にそこまで期待するのは無理か?■
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