かぶれの世界(新)

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高齢化の時計

2011-02-05 15:54:04 | 日記・エッセイ・コラム

北側に面している台所や風呂場、洗面所が3日前から急に明るくなった。まるで違う場所に引っ越したみたいに感じた。外に出て見ると隣の家の庭木の枝葉がすっかり刈り取られてツンツルテンになっていた。大胆な枝の処理の仕方を見ると、プロの庭師の仕事のように思われる。田舎で教わりながら庭の手入れをした経験で何となくわかる。

隣の家の夫婦は私の両親と同じ年周りか少し上で、引退して数年前に田舎に戻られた。今は私と同年輩で独身の息子さんの一人暮らしだ。庭の手入れを全然やらないものだから、庭木が伸び放題で我家の屋根や台所と風呂の窓に枝が到達する。その枝を伝わって蟻が我家に入り込み、枯葉が樋に溜まるようになったので、彼に断って塀を越えてくる枝を一部落としたがある。

枝葉は徐々に伸びるので、北側の窓がこんなに暗くなっていることには気がつかなかった。それがある日急に明るくなった。結構なことだけど何故今頃?理由はすぐにわかった。田舎から奥さんが戻って庭の酷い状態を見て、昔出入りしていた庭師に手入れを頼んだのだろう。これほど徹底して枝葉を落としたのは、何年か分をまとめて手入れしたのかもしれない。

懐かしくなって奥さんに挨拶をすると3年ぶりだそうだ。ご主人は最後に施設に入って亡くなったそうだ。聞かれて母も施設に入っていると答えると、しょうがないよね、と一言。ご主人を施設に入れたのを再確認しているように私には聞こえた。奥さんは私の母より幾つか年上のはずだが若々しく元気そうで、私の記憶している顔より寧ろ若返ったように見えた。

隣の家は全く生活感が無かった。そこだけ時計が止まっているかのようだった。今は洗濯物が干され庭の隅まで見えるようになり、急に人の気配がするようになった。時計が進み始めた。奥さんは2週間いて田舎に戻る予定だそうだ。■

コメント
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