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ダウ平均大台回復の意味

2009-10-16 23:29:05 | 社会・経済

昨日早朝に登録したネット・メディアの全てから、ダウ平均が10,000ドルを回復したとニュース速報が入っていた。昨年9月のリーマンショックから今年の3月頃まで底なし沼のように思われた株式市場がこれほど早く回復するとは誰も予想しなかったのではないだろうか。世界の政府・金融当局は世界を1929年以来の大恐慌の淵から救ったといっても言い過ぎではないと私は思う。

だが、この意味するところをよく理解してないと、政府は政策を誤り、個人投資家は誤った投資をする恐れがある。そういう微妙な時期だというのが私の正直な印象だ。私の仮説は、今月初めの「2009年大胆占い3Q見直し」で既に紹介した。これをもう少し膨らませて議論したい。

ちょっと捻って語呂合わせで言うと、昨日のダウジョーンズ平均株価の10,000ドル台回復は「二つの過剰」に支えられている。普通に考えればそれは「過剰流動性」と「企業の構造改革による利益体質への転換」だが、政府や家計に比べ企業の適応の早さが二つ目の過剰だと目に映る。

二つの過剰

最初の過剰は予想された周知のことだ。世界中の政府の景気対策による金融緩和で、世界は異常な金余り状況になった。しかも、二番底を恐れて各国政府は金融緩和を継続する見込みだ。結果としてグローバルマネーはリスク許容度を高め、安全な逃避先から出て原油価格や株価相場を上昇させた。主要金融機関の保有資産の現金比率の低下がこの動きを明確に裏付けている。

もう一つの過剰は、私の思い込み仮説であり、「企業の過剰適応とそれについていけない政府と家計」だ。上記の「・・・3Q見直し」でも述べたが米国企業は消費態度の変化による消費水準の低下を新たな常態とみなして、それに合わせ徹底リストラを実行しリソースを新興国に集中した。

本日の日本経済新聞によると、早くもその成果が出てダウ平均10,000ドル回復の背景として米国主要500社の売り上げは2%増だが、利益は15%増と報じている。昨年までの消費水準に戻ることはない、今が「新しい常識」になった、その中で米国企業は早くもこのパラダイム変換にフィットして利益体質に戻ったと報じている。もしかしたら彼らはもう不景気とは思っていないかもしれない。

新パラダイムに追いつけない政治と家計

私は日本でも現状を所与の変化と受け入れ、昨年までと比べ景気が悪いとか収入が減ったとか考えるより、現状にあった政策や家計の構造改革、つまり収入にあった生活に転換をすべきだと考える。米国だけではなく日本でもそういう転換を遂げた企業が既に業績を伸ばしている。

私が過剰だと思うのは、企業の適応は国内市場から海外新興国への転換が、生き残りの為の時間との戦いとなり、短期間かつ徹底して行われたことだ。結果として多数の失業の痛みが生じたことである。相場が上昇し、市場が回復、企業業績が回復しても、雇用は悪化し続けている。競争がある限りこれは避けられない過剰だったと私は思うが。

どうも体質的に、企業に比べ政府や家計は自らを変えるという点では一歩遅れる。だが、自らを変えない限り新しいパラダイムで生きていくことは出来ない。実体経済と株価の乖離は問題だが、実体経済をかつての水準に戻そうとする政策は無意味で無力だ。ダウ平均大台回復の記念すべき日に、他人事ではなく我々自身も従来発想を越えた変化をして成果を共有すべきと感じた。■

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