かぶれの世界(新)

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選挙の争点(顔ファクター)

2005-08-19 15:47:12 | 国際・政治
衆院解散から10日も経たないのに随分状況が変化したように感じる。郵政民営化反対陣営は団結できず、反逆者37人vs小泉政権が反対派各個人対自民党の戦いになった。これでは反対者は後のことは何も考えていない、イラク戦後計画がお粗末だったと非難されているブッシュ政権より余程ひどい。うっかり反対派に付いていって臍をかんでいる議員が如何に多いことか。よく言えば後先何も考えず信念に従ったということだろうが。

解散の夜の小泉首相のスピーチは近年稀に見る素晴らしい出来だった。選挙に勝てば歴史に残る名演説と称えられるだろう。普段政治に余り興味を示さない田舎の母や親戚、近所の人達も口を揃えて良い印象を持ったと言っていた。最高の「顔」で演じたといってよい。しかし、冷静に見るとテレビは連日のように反対派の亀井、綿貫両氏を始め小林、平沼、藤井、野田各氏等の動向をまるで英雄かのように報じた。マスコミ露出度という点では反対派に圧倒的に有利であり、日頃テレビの顔となっているコメンテーターの多くは反対派寄りの立場に立ったように感じた。国民にアピールする戦いの環境はそれほど悪くなかった。

ところが反対派主役達の殆どは悪役面で喋り方も悪役面にマッチして最悪だった。選挙前の現段階では人気投票的な性格があり、今回リーダは言葉を少なくしスポークスマンをたてる戦略をとるべきであったろう。実際には反対派に共通して声高で早口にまくしたて相手の発言を封じる威圧的な態度を取るスタイルが多く逆効果であった。平沼氏でさえ苦悩の色を浮かべると、顔つきが悪くなったという印象を与えたから不思議である。折角もらったテレビ露出度の機会を悪役面で毎日感情的な喋り方をしたのでは全くぶち壊しだった。元々少ない反対派を束ねることができず、顔になるリーダが悪役に見えたのでは致命的であった。

もう一つ選挙前の争点が「中央対地方の戦い」である。従来は個人の後援会が政党の地方支部を兼ねるケースが多かったが今回反対議員を非公認にすることにより中央と地方の摩擦が起こっている。これによって地元への利益誘導を第一とする日本の政策決定プロセスを正す予期せぬ効果が期待できる可能性があり注目される。選挙区ごとに長年培って来た別の意味での「顔」がまだ力を持っているかどうかテストされる。多くの選挙民の意識は依然利益誘導型であり、今回どういうファクターがより決定的な役割を果たすか予断を許さない。有名人をぶつけると勝てるというほど簡単ではないと思われる。

いずれにしろ、第一段階は小泉政権の圧勝に終わりそうである。私が予想した以上に反対派はやっつけられ、戦う前から追い込まれてしまった。これだけやっつけられると哀れを感じるのは私だけではあるまい。郵政民営化に反対して自家撞着に陥った民主党も予想通り迫力がない。これは信頼感の問題である。今回は投票日までには後二段階くらい曲折があると見ている。次は候補者がそろいマニフェストが作られ戦いの全容が明確になり政策論争が本格化するはずである。最後は1票1票確保していく草の根レベルの戦いであり、「情」と「理」が渾然一体となって訴えられる。選挙結果は日本人の民度の表れであり、民度が問われる。日本人はそれほど政治的に成熟している訳ではない。何もかも政治家のせいにはできない。■


コメント
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