かぶれの世界(新)

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日中関係悪化のもたらすもの

2005-04-13 10:29:38 | 国際・政治
このところ中国の反日デモは激しさを増し、対する政府間のやり取りは収拾というより対立を深める方向に向かっているようで身を切られる思いである。この場では、どちらが良い悪いという議論はさておいて、これから日本で起こりうる最悪の場合の可能性について考えてみたい。

中国政府は対日関係改善の意図があったようだが、民衆の反日感情の盛り上がりは制御できないレベルに達した。警備陣の対応に見られるように中国政府は民衆に迎合せざる得ない状況にあり、今後も日本に対して強い態度で臨む可能性が高い。グローバリゼーションの中で中国の世界工場化は、中国をグローバル・サプライチェーンの末端に位置づけたもので、中国マクロ経済の華々しさに比べ中国国民へ還元はまだ少なく、個人レベルでの期待と結果のギャップを埋めるものが必要なのである。日本政府は“冷静に”対応するだろうが、中国政府に対して“筋を通して”引き下がらず更に対立は激化する可能性は高い。

従来、経済界はカントリーリスクに蓋をして中国に投資を集中させていたが、今回を機に改めて投資のリスク分散を具体的に進めはじめるだろう。水面下では既に始めたところがあるはずだ。投資先の分散はアジア諸国への回帰とインド、ロシアに向かうものと予想される。経営視点では基本的には投資のリスク分散であり必ずしもマイナス面ばかりではない。欧米系会社の現地社員給与に比べ日系会社の給与は7割程度との報道があり、中国市場でオペレーションを存続のためも含め日本企業進出の意義を改めて問い直していくことが必要だろう。

しかし、対立がさらに進みある臨界点を超えると、日本で民族主義が台頭し右旋回、石原慎太郎氏などのいわゆる右翼が支持を得て後には戻れない一線を越える可能性がある。彼らの考えを主張する絶好の機会であるのに沈黙を保っているのは、今回は日本政治の主流になる真の機会が来たとみなしているからではないかと思う。その次のステップとして軍事強化が視野に入ってくる。その進め方によっては日本が孤立化する恐れがありうる。再軍備に必ずしも反対ではないがこのような形で起こるとすれば不幸である。

関係の悪化は両国にとって不幸であるのは明々白々なのに、両国が最も望まない方向に進む可能性がかなりある。この最悪ケースシナリオも私にはかなり現実味があるように感じる。勿論、一方でその流れを止めるものも沢山あり、今後両国は何度か分岐点に立つことになる。どこかで両国が何が得かそろばんをはじけば、今までやってきたようにとりあえず争点を先送りして事態を沈静化させる可能性はあるが、そう簡単にいくかどうか今のところ確信が持てない


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