大10同好会

普通の高齢者の生活と情報

欲望と自然の摂理(土井卓美)

2011年03月25日 20時53分59秒 | Weblog
人気ブログランキングへ

「大抵のあったら便利は無くて済む」という川柳を読んだ時うまいと感心し、以後記憶に残っています。
人々の便利さ、快適さへの欲求には限度が無く、最初は一部特権階級だけのもだったものも日が経つに従って上流から中流やがて一般大衆のもへと拡がってきます。
時の特権上流階級はまた新たなものを求め、それも時代と共にまた一般大衆へと普及していくという歴史をくり返しています。
こうして文化も産業も発展して社会が豊かになってくるのだから結構なことなのですが、そこには落とし穴も潜んでいます。
今回の東電の原発事故もその大きな一つの表れであると言えましょう。

どれ位のペースだったら大丈夫なのかという絶対的な基準がある訳ではないので難しいのですが、人々の欲望が拡大するのは止められず、それが余りにも急である場合には供給する側がどうしても無理をしなくてはならなくなります。
かつては歩いたり、公共交通機関を利用していた人々の多くが自家用車を持つようになると石油の需要が急拡大し、CO2による環境破壊に繋がってきます。
エアコンやその他の電化製品の普及は電力供給の急拡大を必須のものとし、その為にはCO2の発生も少なく効率の良い原子力発電が最も求められるものとして登場してきた訳ですが、それは従来の水流を利用するとか、石炭や重油、液化天然ガスを燃やすという自然現象の利用と違って、核分裂あるいは核融合といった本来なら自然界にあり得ないことを人工的に行うもので、謂わば自然界の摂理への挑戦ともいえるものです。
人々の欲望を満たす為にこのようなことが、知らぬ間にかなり自然に、行われるようになってきている現在の恐ろしさを改めて知らされた思いです。
原発の新設、増設はこれで一先ず据え置かれるか、延期あるいは中止されるものと思われますが我々の代以降の世代の人の為にも自然との共生について、今一度原点に立ち帰って見直しをしなければならない時期にきているようです。