ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

『博士の愛した数式』は、とても面白く気持ちのいい余韻のある、いい小説でした

2007年07月29日 23時41分09秒 | レバレッジリーディング
博士の愛した数式
小川 洋子
新潮社

このアイテムの詳細を見る

博士の愛した数式
小川 洋子 (著)

何となく読んでみたけど、面白かった。ざっと2時間か3時間程度で読める本なんだが、だからといって軽い本ではなく、読みやすい本と言っていいだろう。読後感もよく、心地いい余韻が残る、素敵な物語であった。映画化されたのは知っていたのだが、映画も見ていなかった。深津絵里と寺尾 聰だったように記憶している。淡々とした中に優しさと仄かな愛情もあり、深い子どもへの愛もある。大人なストーリーだ。さぞかし深津絵里はピッタリだったことだろう。数学教授の義理の姉が誰が演じたかが気になるところ。

淡々とした優しいストーリーの中で、ところどころに出てくる数学のエピソードがストーリーを引き締めている。記憶が90分しか持たない元数学教授は、数学に身を捧げた人間で、そういうひとは数学の世界にはたくさん実在しているようだ。僕は放浪の数学者エルデッシュという人の本を読んだことがあるが、エルデッシュは鞄1つで数学者仲間の家にふらっと表れては、泊まりつつ数学の話を徹底的にし、相手が参った頃にまた別のところへといく、という人生だったようだ、しかも数学の論文の数は他を圧する量だったという。

素数。友愛数。実に美しい言葉だ。素数に魅入られた数学者は数知れないい。そこには、神秘に包まれた真理があるのかもしれない、とギリシャ哲学をちょっとだけ囓り、ピュタゴラス教団(ピュタゴラスの定理を見つけた秘密結社である)についてちょっとだけ調べたことのあるオレであるが故。三角数というのは面白かった。それは1から順に数字を足していく。その和を考える。1から10であれば、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10である。
これをどう計算するか。まず。ボーリングのピンのように並べて考える。それから、それを片側に寄せてみる。

●●
●●●
●●●●
●●●●●
●●●●●●
●●●●●●●
●●●●●●●●
●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
となる。

それを長方形で考える。
すると

●○○○○○○○○○
●●○○○○○○○○
●●●○○○○○○○
●●●●○○○○○○
●●●●●○○○○○
●●●●●●○○○○
●●●●●●●○○○
●●●●●●●●○○
●●●●●●●●●○
●●●●●●●●●●

これは10の2乗からシロの部分を抜くわけだから

10×10 ÷2 + 10/2

Nを2乗する÷2 +N/2であります。

これなら1000でも5000でもできますな。

数学の世界ではこういうのを神の手帳にかいてあるものを盗み見る、というそうです。
人間が生まれようと生まれてこようとこの定理はあったわけですからね。
考えついたのではなく、見つけただけなんですよ、

ああ、学生時代もっと数学をやっておけば良かったなぁ。本当に一生愉しめそうだぞ。

放浪の天才数学者エルデシュ
ポール ホフマン,Paul Hoffman,平石 律子
草思社

このアイテムの詳細を見る


My Brain is Open―20世紀数学界の異才ポール・エルデシュ放浪記
ブルース シェクター,Bruce Schechter,グラベルロード
共立出版

このアイテムの詳細を見る



最新の画像もっと見る

コメントを投稿