ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

20㎏オーバー(平ヶ岳:2)

2009年10月13日 22時45分16秒 | Weblog
もう夏も終わる。
車で出発した時間帯はまだ暗く、太陽が昇る気配など全くなかった。

途中コンビニで朝食を購入し、登山口の駐車場まで再び車を走らせた。
車中、山のこと、ツーリングのことなどお互いに好きでたまらないアウトドアーの話題が尽きなかった。
それでも自分の中では常に不安がつきまとっていた。
せっかく20年ぶりに登る山であるはずなのに、嬉しさよりも不安が大きかったのだ。

昨夜、部屋でザックを背負ってみた。
ずっしりとした重さを背中に感じた。
「重いなぁ」という言葉より先に、「こんな重さ、俺、耐えられるだろうか。」
という不安を感じた。
ヘルスメーターで量ると、軽く20㎏を超えていた。
もう一度荷物を点検し、できるだけ無駄を省いたが、それでも20㎏を下回ることはなかった。
かつてはこれ以上の重量のザックを背負い、北アルプスを一週間も縦走したものだが、それはバリバリの若さあふれる20代。
あれから20年。不安は体力と持久力の衰えだけでない。無理に無理を重ね、体のあちこちに何度もメスを入れてきた“ツケ”が心配だった。

8時。登山口の駐車場に到着。
「やっと着いたか」ではなく、「ついに来てしまったか」という方が正直な気持ちだった。
だが今更不安を口になど出せない。服装を整え、荷物をチェック。登山者カードを投函し歩き始めた。
やはり重い。登山用具よりも食料と水の重さにまいりそうだった。

なだらかな上り坂を歩く。だが、そんな楽な道はすぐに終わり、いきなり急勾配の登山道へと変わった。
急勾配だけならまだいい。段差の大きい階段状の登りが延々と続いている。
そしてこの急勾配が、標高約1600メートルまであるのだ。
まず、およそ800メートルの標高差を登り切らなければならない。
スタートしてまだ1時間。心臓はバクバク状態。
ほんのわずかの休憩時間は、息を整えるだけで精一杯だった。