図書館まつりの一環として、文学講座が開かれた。
題は”太宰治という生き方”、講師は岩崎文人先生である。
広大名誉教授であり、ふくやま文学館館長である。
以前にも何度か話を聞いたことがあり、歯切れが良く、面白い内容だと思う。
太宰治生誕110年を迎えるが、彼の作品は今も衰えることのない人気を保っている。
学生時代から太宰の作品は沢山読み、生きる力も貰った。特に”斜陽”は美しい言葉である。
今日の講演を聞き改めて本棚を見ると、「太宰治全集」が並ぶ。
全12巻+別館の13冊が鎮座ましましている。
筑摩書房 昭和43年4月30日初版発行である。定価は580円と出ている。
黄泉の国に旅立たれた多くの有名人の太宰治論もある。
勿論、井伏鱒二氏や津島美知子氏の「思い出の記」も納められている。
本を開くと、上下2段に分かれて、小さい字がびっしり収まっている。
パラパラめくっていると、結婚後の安定期に書かれたと言う"富獄百景"の、
「富士には、月見草がよく似合う」との言葉にも出会った。
また「人間失格」・大庭葉蔵手記の冒頭は、
「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。」
この意味には、太宰治の生家とか生い立ちを知らなければ理解できない内容が含まれていることを知る。
しっかり読み込んだつもりであろう、線や書き込みがある。読書会もしたのではないだろうか。
もう一度、太宰治を読み返してみようと思う。この歳になって、又太宰に恋をすることになりそうである。
どこまでの本が読めるか。どこまで恋が実るか!命と競争する事になりそうである。