中 真千子さん
緑の恐怖
ウルトラセブン第2話
「今日は『ウルトラセブン』第2話「緑の恐怖」に出演された女優・中 真千子(なか まちこ)さんについて」
「かわいい方じゃね」
「この回は、宇宙ステーションV3から石黒隊員が帰還してくるところから話が始まるんじゃが、中さんはその石黒隊員の奥さん・美津子(みつこ)という役なんじゃ」
「へぇ」
「その石黒隊員の家の庭に、堅そうな、青白い物体が落ちてくる。「なにかしら」と家政婦とともにのぞきこんだあと、美津子さんはその得体の知れない物体をけつって(=蹴って)しまう」
「痛い!」
「…というリアクションはないんじゃが、家政婦から「およしなさい。爆発でもしたらどうなさるんです」とたしなめられたときの美津子さんの表情が、最初の写真じゃ」
「裕福な家庭でのびのびと育てられた、ちょっとおきゃんな若奥様という感じかね」
「気になったんで調べてみたら、広島出身の方じゃった」
「そうなん?」
「生まれは旧満州(まんしゅう)の大連(だいれん)で、戦争が終わった1947年(昭和22年)に広島市に引揚げてこられたそうじゃ」
「満州に生まれて終戦後に広島に引き揚げてきたいうたら、ウルトラセブンの音楽を担当された冬木 透(ふゆき とおる。本名・蒔田 尚昊(まいた しょうこう))さんと同じじゃね」
「中さんは1956年(昭和31年)、宝塚音楽学校に入学されとってんじゃ」
「ということは、宝塚歌劇団にもおられたん?」
「翌57年に宝塚音楽学校を卒業されて、第44期生として宝塚歌劇団に入団された。芸名は碧川澄子(あおかわ すみこ)」
「川が碧(あお)く澄む…?」
「「武庫(むこ。兵庫県摂津(せっつ)地方の古地名)の清流に因(ちな)み、清く美しくありたいと願って」ということで、この芸名にされたそうじゃ。その後、1960年(昭和35年)に宝塚歌劇団を退団して、東宝と専属契約を結ばれた」
「ということは、東宝の映画にも出演されとってん?」
「有名どころでは、あの『若大将シリーズ』に出演されとってんじゃ」
「若大将って、加山雄三(かやま ゆうぞう)さんの?」
「ほうじゃの。加山氏が演じる主人公・田沼雄一の妹・照子役を中さんが演じられとったんじゃそうな」
「へぇ」
「その他には、故・森繁 久彌(もりしげ ひさや)さんの『社長シリーズ』、クレージーキャッツや故・植木 等(うえき ひとし)さんの映画にも出演されとってんじゃ」
「その方がなぜセブンに?」
「ゴジラ映画はどこの映画会社で製作されたか知っとる?」
「そうか、東宝じゃったね」
「そのとおり。故・円谷英二(つぶらや えいじ)さんが特撮を担当した映画『ゴジラ』(1954年)は、観客動員数961万人の大ヒットとなった。その後、『ゴジラの逆襲』『空の大怪獣ラドン』『地球防衛軍』『モスラ』などの作品を世に送り出し、東宝のドル箱シリーズとなったんじゃ」
「うちらが子(こ)まいころ、男の子は「円谷英二」いう難しい漢字の名前を「つぶらやえいじ」と読むことができた。それほど子どもたちには知られた名前じゃったもんね」
「「特撮の神様」と呼ばれた円谷さんが円谷プロ(円谷プロダクション)を作られて、テレビで『ウルトラQ』(1966年)を始めとする数々の作品を制作された」
「その関係でセブンにも出演されちゃったん?」
映画界がだんだん不況になってきてね、私たち契約者はテレビの方にも出るようになってきたんです。
その中で円谷プロのお仕事もさせていただいたんですね。
(『別冊映画秘宝 ウルトラセブン研究読本』洋泉社 2012年)
「1950年代後半からテレビが普及してきたこともあって、1960年代から映画の観客動員数が減ってきた」
「映画を制作したり出演したりしよった人が、テレビに出るようになったころじゃね」
「美津子さんの夫・石黒隊員を演じた松本朝生(まつもと あさお)氏は新東宝、家政婦・シズを演じた森 今日子(もり きょうこ)さんと、ワイアール星人に襲われる酔っ払いを演じた故・大村千吉(おおむら せんきち)さんは東宝の出身になるんじゃの」
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中真千子オフィシャルサイト
「今日は、『ウルトラセブン』第2話「緑の恐怖」に石黒美津子役で出演された女優・中 真千子(なか まちこ)さんについて話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」
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